研究課題/領域番号 |
04304005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90158048)
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研究分担者 |
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物学系, 助教授 (40191738)
巌佐 庸 九州大学, 理学部, 教授 (70176535)
井上 民二 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90109041)
嶋田 正和 東京大学, 教養学部, 助教授 (40178950)
伊藤 元己 東京都立大学, 理学部, 助教授 (00193524)
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キーワード | 絶滅危惧植物 / 保全生物学 / 遺伝的変異 / 個体群動態 / 送粉昆虫 / 種子生産 |
研究概要 |
本研究は、高等植物の種の保全を研究する方法論を開発することを目的として実施されている。目的に応じて重点的に調査する対象種・対象地域を選定し、研究を進めている。 1絶滅危惧植物の繁殖特性 昨年度に引き続いて、マイヅルテンナンショウ、サクラソウ、アサザ、カワラノギクなどの絶滅危惧種の繁殖特性を調査した。マイヅルテンナンショウ、サクラソウやアサザでは、自生地において送粉昆虫が減少し、その結果集団がほとんど栄養繁殖または自家受粉によって維持されている。カワラノギクの場合、種子食昆虫のツツミノガが種子繁殖を制限する要因になっている。このように、送粉者や植物食者との相互関係の変化は、絶滅危惧植物の存続にとって一般的に重要な要因であると考えられる。 2絶滅危惧植物の遺伝的変異 今年度はカワラノギクの変異を詳しく調査した。現存している3つの水系の間ではかなり明瞭な遺伝的分化があり、水系が異なる集団間で長い間隔離されてきたことがわかった。保全上は3つの水系の集団を残すことが必要である。種子食昆虫のツツミノガの遺伝的変異についても調査したところ、カワラノギクと異なり集団間の分化が不明瞭だった。カワラノギクに比べ、ツツミノガはより大きな分散力を持つものと考えられる。このため、カワラノギクの個体数がさらに減少した場合、ツツミノガの食害がカワラノギクの減少をさらに促進する可能性がある。 3小笠原の固有植物と送粉昆虫 昨年度までの調査で、送粉昆虫の固有種は母島では多くが絶滅し、固有植物が本来のパートナーを失っていることを明らかにした。本年度はイチジク属の固有種3種の開花習性について継続調査を行い、イチジク属の固有種とその花粉媒介昆虫であるイチジクコバチの相互依存関係が維持されるのに必要な個体数について、基礎データを集めた。
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