研究課題/領域番号 |
04304005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢原 徹一 九州大学, 理学部, 教授 (90158048)
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研究分担者 |
伊藤 元己 千葉大学, 理学部, 助教授 (00193524)
鷲谷 いづみ 筑波大学, 生物学系, 助教授 (40191738)
嶋田 正和 東京大学, 教養学部, 助教授 (40178950)
井上 民二 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (90109041)
巖佐 庸 九州大学, 理学部, 教授 (70176535)
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キーワード | 遺伝的変異 / 高等植物 / 個体群動態 / 絶滅 / 繁殖生態 / 保全生物学 |
研究概要 |
植物の絶滅危惧植物種の保全生物学的理解を深めるために、以下のような研究を行った。 (1)本来しばしば攪乱を受ける成育地に生活していた種が、人為的な環境の安定化の下で成育地を狭められている場合が少なくない(カワラノギク、マイヅルテンナンショウ、アサザなど)。このような種の集団の運命を予測するには、パッチ状環境を挌子空間として扱うモデルが有効であり、このようなモデルの開発を行なった。またカワラノギク、マイズルテンナンショウを材料として実際に個体群統計学的研究を行い、モデルに組み込まれたパラメータを測定し、集団の運命を予測することを試みた。今後の発展のためには、パラメータの年変動を推定し、感度分析によって変動の幅が絶滅率をどのように高めるかについて検討することが有効であると考えられる。 (2)絶滅危惧植物の遺伝的変異量を、アロザイムやDNAマーカーを活用して推定した。マイヅルテンナンショウやフジバカマではきわめて遺伝的変異が少なく、遺伝的変異量の制限が環境への適応を制約している可能性が示唆された。一方、カワラノギクではかなり多量の遺伝的変異が見い出された。この結果はカワラノギクの集団サイズが、急減してはいるがまだ多量の遺伝的変異を維持するほど十分に大きいことを示す。この結果から、遺伝的変異量の年ごとの変化を調査することで、カワラノギクの有効集団サイズの変化をセンサスできるものと考えられる。 (3)過去の絶滅過程を理解する方法論として、分子系統樹からクレード間の種の回転率の違いを検定する方法を開発した。この方法を使うことで、たとえば自家受粉をする系統と他家受粉をする系統で、どちらが絶滅しやすいか、といった問題を検討できる。
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