研究分担者 |
塩谷 哲夫 東京農工大学, 農学部, 教授 (60226107)
村山 成治 弘前大学, 農学部, 助教授 (40003470)
立野 喜代太 佐賀大学, 農学部, 教授 (10038325)
橋川 潮 滋賀県立短期大学, 農業部, 教授 (50074042)
綱島 不二雄 山形大学, 農学部, 教授 (70089803)
|
研究概要 |
本研究は農業生産活動が生産環境のみならず生活環境までも影響を及ぼしている点を改善し,永続的な生物生産と環境との調和をはかることを最終目的とする。当面,立地条件を異にする大学農場の特性を利用して,水稲作を対象に,栽植密度と施肥量の変更に伴う稲体自身の健康度の向上により,病害虫の被害の軽減とそれに伴う農薬節減の程度とその地域性を明らかにすることが第1の目標であり,この際,稲体の健康度をあらわす生理的な内容を明らかにすることが第2の目標である。 それぞれの大学が所在する地域における奨励品種と慣行栽培法を標準とし,これに対して,栽植密度と施肥量を組み合わせた試験区を設定した。本研究は平成3年度から予備試験が実施されており,平成4年度の本試験とあわせて,得られた結果の概要は下記の通りである。 1.試験実施大学の半数以上で,除草剤以外の農薬を1回だけに限定しても,本年度の天候条件のもとでは、ほぼ平年並みの収量が得られた。しかし,いかつかの大学では,病害虫の発生が多く,農薬散布を削減できない例もみられた。 2.栽植密度の粗密に伴う稲体の健全化については,立地条件の影響が顕著にあらわれた。すなわち,作期の幅が狭く,早期に生長量を確保することが収量確保の条件となる東日本では,病虫害発生の頻度が西日本よりは少ないこともあり,密植・少肥の有利性が示された。一方,植え付け時期の自由度が大きい西南暖地では,むしろ粗植で個体の生長量に期待できる面のあることが示された。 3.これらの生理的な原因を探るために群落構造に関する調査も実施したが,本年度のデータからは結論を得るに至らなかった。
|