地球環境保全と世界食糧確保に向けて農業的土地・水利用の国際的原則整備に関する研究

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04304022
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 中野 政詩 東京大学, 農学部, 教授 (00011908)
• 研究分担者: 田中 忠次 明治大学, 農学部, 教授 (70167500) ; 志村 博康 日本大学, 農獣医学部, 教授 (00007064) ; 矢野 友久 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (80032085) ; 三野 徹 岡山大学, 農学部, 教授 (10026453) ; 黒田 正治 九州大学, 農学部, 教授 (50039319)
• キーワード: 地球環境保全 / 土地利用国際原則 / 水利用国際原則 / 乾燥地の農業利用 / 塩類集積地の改良 / 地球温暖化ガス / 資源環境予測解析 / 国際的土地改良事業

研究概要

本年度は、初年度として、資料・文献の収集と分析、研究方向の設定、準備的な実験、適用モデルの検索、シミュレーション準備等をすすめた。対象地域は、フィリピン、タイ国、バングラディシュ国、パキスタン、インド、中国、台湾、エジプト、イスラエル、米国、日本等である。
現状分析班は、農業用水と土地利用および多種用水との相関関係、用水の反復・還元利用と水質劣化・地域環境保全の関係を明らかにした。地域特性解明班は、塩類集積の実態と防止対策の整理、蒸発散機構を含む水文特性解析モデルの解明、環境保全型高効率かんがい技術および循環型かんがいシステムの考案、乾燥に伴う酸性硫酸塩土壌化と微生物および土壌水分の関係、泥炭地の農業利用と環境保全の関連、渓流河川の取水方式と取水工の設計方法の整理等を明らかにした。
共通原則探求班は、各地域の個性が自然条件、社会条件、歴史的発展過程によって作られた風土により規定されるところから、上記2班の結論を見つつ、乾燥地域と湿潤地域、水田地域と畑地域等の比較研究から地域資源と環境保全機能の評価を試みた。
到達段階比較班は、現状の把握と分析から、21世紀後半にはアジアが他地域に先駆けて水資源後期開発段階に入り、地球温暖化ガス放出を数倍化する事を予測し、ガス放出抑制のための排水事業やエネルギ節約型土地改良事業の必要性を指摘した。
シミュレーション班は、本研究に必要なシミュレーションは三次元非線形数理モデルの解を得る事であるとして、パソコン・アドオンボードを検討し並列処理プログラムを作製した。
総括者は、以上の諸研究を総括すると共に、文献が比較的乏しい土地からの地球温暖化ガス発生の実態を把握する実験装置を作製した。

研究成果

• [文献書誌] M.Kuroda,et.al.: "Irrigation return flow machamism andwater quality in low lying paddy area." Land reclamation,Proc.Int.Symp.ASAE. 40-49 (1992)
• [文献書誌] 荻野 芳彦 他: "インダス川流域の塩類化による砂漠化と防止対策" 農業土木学会誌. 60. 1-4 (1992)
• [文献書誌] 矢野 友久: "砂漠緑化システム" エネルギ・資源. 13. 430-435 (1992)
• [文献書誌] 山本 光男: "渓流河川取水工の設計" 水利工程研究会論文集(中国). 6. 332-349 (1992)
• [文献書誌] 渡辺 紹裕: "エジプトの水田" 農土学会シンポジウム要旨集. 22-31 (1992)
• [文献書誌] 田淵 俊雄: "農地・農村と国土環境保全" 農村計画学会誌. 11. 54-59 (1992)
• [文献書誌] 海田 能宏: "風土の工学" 農業土木学会誌. 60. 55-57 (1992)
• [文献書誌] 三野 徹: "地球環境と農業水利" 人と国土. 7. 49-54 (1992)
• [文献書誌] T.kitamura,et.al,: "Rural land use in the Asian region(1)" APO Symp.(1992)
• [文献書誌] S.Kobayashi: "Rural land use in the Asian region(2)" APO Symp.(1992)
• [文献書誌] 志村 博康: "21世紀人口増に対応する食料生産と地球環境問題" 農土学会シンポジウム要旨. (1992)