研究分担者 |
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10109506)
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
小沼 操 北海道大学, 獣医学部, 教授 (70109510)
速水 正憲 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (40072946)
長谷川 篤彦 東京大学, 農学部, 教授 (90011923)
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研究概要 |
本研究目的は、各種動物由来レンチウイルスを分子生物学的観点から総合的に比較研究することにより、レンチウイルスに共通に見られる遺伝特性を明かにするとともに、その生体内での病原性の発現メカニズムを分子レベルで探ることにある。本年度は主としてネコ免疫不全ウイルス(FIV)について検討した。 1.日本,オーストラリアおよび米国で分離されたFIVのLTRの塩基配列を比較したところ,日本の各分離株は遺伝子レベルで米国やオーストラリア各分離株から離れた位置にあり,系統学的に異なるものと考えられた。 2.組換えキメラウイルスを用いてFIV株間の生物学的性状の相違を解析したところ、LTRのプロモーター活性には有意な差は認められなかったものの,MYA-1細胞での巨細胞形成能はenvおよびrev領域が決定し,ウイルス増殖の速さや細胞障害性の強さはgag,pol,vif,ORF-Aの領域が関与しているものと考えられた。 3.FIVのORF-A遺伝子に変異を導入した変異株を用いてその機能を解析したところ、ORF-1遺伝子はウイルスの効率的な増殖を促進していると考えられた。 4.FIVのLTRには1つのAP-1結合配列(エンハンサー配列の1種)が存在するが、その配列に隣接して、4つ並んだAP-1結合配列を導入したウイルスを作製し、ウイルス産生の強弱を親ウイルスと比較検討した。その結果、FIVはビスナウイルスとは異なりエンハンサー配列の重複がIn vitroでの増殖性の強さと関連していないことが明かとなった。
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