研究課題/領域番号 |
04304045
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山田 正 東北大学, 歯学部, 教授 (50005021)
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研究分担者 |
兼平 孝 北海道大学, 歯学部, 講師 (90194935)
飯島 洋一 長崎大学, 歯学部, 助教授 (70094860)
松久保 隆 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (90112804)
西澤 俊樹 国立予防衛生研究所, 口腔科学部, 主任研究官 (00072942)
星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619)
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キーワード | 食品 / ウ蝕(むし歯) / 電極内蔵法 / 口腔内脱灰試験 / 歯垢pH / 食品素材 / ウ蝕誘発性 / 代用甘味料 |
研究概要 |
食品やその素材(甘味料など)のウ蝕誘発性をどのように評価すべきかについて、本年度は以下のような点について重点的に議論・研究され、以下のように結論された。 (1)ウ蝕誘発性の評価に際し、食品と食品素材のウ蝕誘発性をはっきり区別して理解すべきである。現在の日本でこれらを混同している例があることは、きわめて憂慮すべき問題である。 (2)食品をウ蝕誘発性、低ウ蝕誘発性、非ウ蝕誘発性とランキングすることは望ましいが、現在の段階では、技術的困難がきわめて大きく、難しい状況にある。 (3)電極内蔵法によって、歯垢のpHが5.7よりも低下しなければ、この食品は非ウ蝕誘発性(noncariogenic)と考えてもよい。 (4)デンプンは、砂糖に比べてウ蝕誘発性が低いことは認められるが、デンプン製品一般について、この解釈を広げることには、危険が多い。 (5)現在の日本では、ミュータンス・レンサ球菌のつくる不溶性グルカンのウ蝕への影響を過大評価しすぎている。国際的な評価に従うべきである。 (6)歯垢のpHを5.0あるいは5.2以上、5.7以下にする素材については、低ウ蝕誘発性の判定をするためには、さらに動物実験と口腔内脱灰試験を行うべきである。しかし、この結果どのように低ウ蝕誘発性判定に利用すべきかについては、明確な基準は得られなかった。 (7)ある代用糖を発酵する歯垢微生物の数を調べる細菌学的検査は、代用糖の歯垢微生物への適応の可能性を検討するためにはきわめて有益な方法である。 (8)ヒトの食品のウ蝕誘発性の検定に、動物実験を直接的に用いることは、本研究で検討した限りではかなり難しいと考えざるを得ない。 (9)キシリトールなどで、言われているような、抗ウ蝕性の効果を消費者に宣伝することは誤解を招く危険がきわめて大きい。現状では、食品に抗ウ蝕性というような表現を用いることは絶対に避けるべきである。
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