唇顎口蓋裂患児の顎発育に関する研究-各種治療法の比較-

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04304047
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 大橋 靖 新潟大学, 歯学部, 教授 (30013874)
• 研究分担者: 岡 増一郎 九州大学, 歯学部, 教授 (50038866) ; 和田 健 大阪大学, 歯学部, 教授 (90028788) ; 河合 幹 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50064788) ; 柴崎 好伸 昭和大学, 歯学部, 教授 (40014005) ; 小浜 源郁 札幌医科大学, 教授 (80014009)
• キーワード: 口唇口蓋裂 / Hotz床 / 顎発育 / 2段階口蓋形成手術 / push back法 / 歯槽模型 / 頭部X線規格写真 / 言語成績

研究概要

各施設より、総計201症例の集積をみた。集計したプロトコール、歯槽模型、頭部X線規格写真分析から以下の結果が得られた。
(1)哺乳床(Hotz床)の吸啜ならびに顎発育におよぼす影響に関する検討
(1)早期に哺乳床を装用することにより、明らかに哺乳量の増加・哺乳速度の上昇がみられ、特に早期(生後1か月以内)装用群では著明な体重増加を示した。
(2)哺乳床の顎発育への影響は、定期の誘導面削除によりsegmentの発育が誘導され、片側性口唇口蓋裂では前方歯槽弓幅径の増加および口蓋破裂幅の減少を認めた。両側性口唇口蓋裂ではlateral segmentの前外方への成長により良好な歯槽弓が得られた。また矢状方向では上顎破裂縁部の下方への発育が見られた。
(2)各種手術法による顎発育の差異に関する検討
分析可能であった歯槽模型は201症例508個である。両側性、片側性口唇口蓋裂ともに、歯列の前後径、幅径において、2段階法が粘膜弁法、push back法に比較して、良好な発育を示しているが、経時的な分析のためにはさらに症例の追加が必要である。
集積しえた頭部X線規格写真は合計272枚で、各症例毎の経時的変化についての分析法について検討した。次年度集中的に計測を行う。
(3)2段階手術法の言語成績に関する検討
症例を重ね術後発達過程を観察中である。現在までのところ2段階法施行症例ではpush back法に比較して言語獲得がやや遅れる傾向が見られる。

研究成果

• [文献書誌] 砂川 元: "顎関節突起骨折の予後に関する臨床的研究" 日本口腔科学会雑誌. 42. 151-158 (1993)
• [文献書誌] 比嘉 優: "下顎角部骨折に関する検討 -特に当科での治療法の変遷について-" 琉球医学会誌. 13. 299-305 (1993)
• [文献書誌] 砂川 元: "琉球大学医学部附属病院歯科口腔外科における高齢者初診患者に関する統計的観察" 老年歯科医学. 7. 157-162 (1993)
• [文献書誌] 津波古判: "Indauction Chemotherapyを行った口腔扁平上皮癌症例の術後言語機能に関する研究" 大阪大学歯学雑誌. 13. 195-212 (1993)
• [文献書誌] 比嘉 優: "下顎角部骨折に関する検討 -特に骨折線上の智歯の処置について-" 日本口腔外科学会雑誌. 39. 762-764 (1993)
• [文献書誌] 西平守昭: "当科における過去3年間の小児患者の臨床統計的観察" 小児口腔外科学会雑誌. 3. 18-23 (1993)
• [文献書誌] 喜舎場学: "口唇裂口蓋裂患者の臨床的研究 第3報 過去15年間の統計的観察" 日本口蓋裂学会雑誌. 18. 209-216 (1993)
• [文献書誌] 大橋 靖: "口唇裂口蓋裂治療に用いる床装置とその機能" 日本口蓋裂学会雑誌. 18. 338-350 (1993)
• [文献書誌] 磯野信策: "先天性無舌症児の構音の観察" 音声言語医学会雑誌. 18. 44-64 (1993)
• [文献書誌] 磯野信策: "臨床のエッセンシャル・発音の基礎知識 (3)吃音の症状とその治療法について" Dental Diamond. 19. 64-65 (1994)
• [文献書誌] Kazuhiro ONO: "Partial monosomy 5p and partial trisomy 5q due to paternal pericentric inversion of chromosome 5." Jpn J Human G enet. 38. 319-328 (1993)
• [文献書誌] 今井信行: "Speech aidの神経学的意義に関する一考察-口蓋粘膜機械的刺激による口蓋帆挙筋の反射性筋活動-" 新潟歯学会誌. 23. 54 (1993)
• [文献書誌] 神成庸二: "両側性唇顎口蓋裂児の顎発育に関する研究-Hotz床併用二段階口蓋形成手術例について-" 日本口腔科学会雑誌.
• [文献書誌] 後藤昌昭: "腺様歯原性腫瘍(AOT)下顎前歯部" 歯科ジャーナル. 37. 760-762 (1993)
• [文献書誌] 後藤昌昭: "下顎骨切除症例に対するブローネマルクインプラントの応用" 日本口腔科学会雑誌. 42. 364-378 (1993)
• [文献書誌] 後藤昌昭: "光硬化樹脂製頭蓋顔面骨模型を使った口腔外科手術シュミレーション" 映像情報. 25. 1451-1458 (1993)
• [文献書誌] 井原功一郎: "歯の非脱灰連続組織標本からの歯の3次元画像構築" 日本口腔インプラント学会雑誌. 6. 21-31 (1993)
• [文献書誌] 今村英夫: "顎関節強直症を併発した慢性関節リウマチの1例" 日本顎関節学会雑誌. 5. 465-472 (1993)
• [文献書誌] 石川聖二: "CT像に基づく頭部形状の3次元対称解析" 電子情報通信学会論文誌. 2. 334-341 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "医用ホログラフィの現状と将来 -歯科・口腔外科における応用-" 映像情報. 25. 502-503 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "医用ホログラフィの現状と将来 -動くホログラム-" 映像情報. 25. 653 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "上顎に発生した基底細胞型エナメル上皮腫" 歯科ジャーナル. 37. 626-628 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "歯原性腫瘍および顎骨骨病変の治療人工材料による下顎骨再建" 歯科ジャーナル. 37. 893-899 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "オッセオインテグレイテッド・インプラントの顎骨切除症例への応用" ザ・クインテッセンス. 12. 85-92 (1993)
• [文献書誌] 香月 武: "ブローネマルクインプラントを用いて咬合回復を行った下顎骨切除症例" 歯界展望 別冊. 267-273 (1993)
• [文献書誌] 内田雄基: "頭部軟X線規格写真による胎児下顎骨成長にともなう形態変化の多変量解析" 福岡医誌. 84. 457-479 (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "顔面裂の疫学" 産婦人科治療. 66. 54-62 (1993)
• [文献書誌] 河合 幹: "口唇・口蓋裂出生に関する1991年調査報告" 愛知県産婦人科医会会報. 46. 85-86 (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "口腔ケア-看護のポイント(2)口唇口蓋裂" 月刊ナースデータ. 14. 130-133 (1993)
• [文献書誌] 河合 幹: "審美的見地よりみた人中口唇裂" 歯科審美. 15. 131-132 (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "正中離開の外科的矯正" デンタルダイヤモンド. 18. 80-81 (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "下顎第3大臼歯抜糸術を併用した顎裂部骨移植" デンタルダイヤモンド. 18. 66-69 (1993)
• [文献書誌] 下岡美智子: "臨床のエッセンシャル (2)歯科医院で簡単にできる言語の検査" デンタルダイヤモンド. 19. 72-73 (1994)
• [文献書誌] Masanori Honda: "AN OBSERVATION OF THE DENTAL ANLAGE BASED OF FINDINGS IN CLEFT LIP PATINTS" Plastic and Reconstuctive Surgery. 92. 1419 (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "学童期の口唇・口蓋裂の子供達への理解のために -先生へのお願い-" 東山書房, (1993)
• [文献書誌] 鈴木俊夫: "ぎもん・しつもん歯と口の辞典" 東山書房, (1993)
• [文献書誌] 夏目長門: "今日の小児治療指針 第10版 口唇口蓋裂" 医学書院, (1993)
• [文献書誌] Hisasi Nakano: "Cleft lip and palate surgery co nsideration on maxillary growth." 1st-International Symposium of the Japan-Russia North East Asia Medical Exchange.Proceedings, 315 (1993)
• [文献書誌] 小浜源郁: "顎・顔面外科治療学II口腔・顔面の疾患裂奇形:口唇裂、その他顔面の裂奇形" 永末書店,