研究分担者 |
森 浩禎 奈良先端科学技術大学院大学, 助教授 (90182203)
水野 猛 名古屋大学, 農学部, 教授 (10174038)
堀内 嵩 基礎生物学研究所, 教授 (60108644)
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
饗場 弘二 名古屋大学, 理学部, 教授 (20025662)
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研究概要 |
大腸菌ゲノムは470万塩基対(4,700kb)から成る一個の環状DNA分子であり、そこには約4,000遺伝子が存在すると推定されている。これまで1,500余りの遺伝子が同定され、断片的にゲノムの約50%に相当する延べ2,300kbの塩基配列が明らかにされている。しかしながら、連続する長大な塩基配列の解析となると、染色体領域0〜6.2、81.5〜92.5分にそれぞれ対応する274、500kbが解析されたに過ぎない。本研究では、(1)大腸菌整列クローン(小原クローン))#130〜161を用いて6.2〜12分に対応する領域(約274kb)の解析を行い、新たに149,188塩基対の配列を決定した。この配列にこれまで明らかにされていた配列(77kb)を加えるとこの領域の82.5%に対応する塩基配列を決定することができた。新たに決定した塩基配列において、他に遺伝子産物のアミノ酸配列と類似性を示す86のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を同定することができ、さらに、この領域には少なくとも5つの挿入配列と93塩基が3または5回繰り返した2種のユニークな繰り返し配列を見いだすことができた。次いで、(2)GenBankに登録されたこれまでの塩基配列データ(Release78)を基にして遺伝子地図と小原クローンとを対応させ、さらに小原クローンの物理地図と塩基配列を対応させることにより現在のゲノム解析状況が一目でわかるデータベース(GenoBase1.1)を作成し、塩基配列から予測されるORFの機能検索データの整理も行った。これらの結果は今後の大腸菌ゲノムの組織的な解析に指針と方策を与えるとともに、大腸菌以外のゲノム解析にも有用な情報を提供することが期待される。
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