研究課題/領域番号 |
04305007
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
八田 一郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)
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研究分担者 |
川久保 達之 桐蔭学園横浜大学, 工学部, 教授 (10016040)
松本 元 電子技術総合研究所, 超分子部, 部長
松野 孝一郎 長岡技術私学大学, 生物系, 教授 (10120346)
沢田 康次 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (80028133)
上田 哲男 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (20113524)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | 生物物理 / 生命現象 / 統計力学 / 非平衡 / 非線形 / 階層性 / 能動過程 / パターン形成 |
研究概要 |
生命現象は、いろいろの局面において、階層性あるいは階層構造によって表されることがある。生命現象における階層性の概念は実験技術の進歩および理論の高度化とともに深められているが、それぞれの個別の分野の研究にそのことは譲って、ここであは、別の角度から階層性を考えることを目指した。それは生命現象を含む広い領域で共通して現れる階層性についての追及であった。その中にあって、非線形平衡現象において現れる階層性の研究は、生命現象を普遍的に捉えるという視点から興味がある課題であり、また重要である。その観点からの研究が、この総合研究により深められた。この観点からの研究としては、八田のモデル生体膜における階層的多状態遷移過程、吉川らの巨大DNAの分子内相転移、垣谷らの基底状態の分子の光吸収スペクトルからの励起状態ダイナミクスの情報を得る方法の開発、櫛田らの蛋白質の揺らぎとホールバーニング、川久保のランダムな振動からの方向性のあるマクロな運動の発現などの研究がおこなわれた。さらに単純な生物そのものを対象として、上田の粘菌細胞の知覚行動、沢田の生命の自己組織、川久保のゾウリムシの走熱性、甲斐の小豆種子の発芽・成長のダイナミックスなどの研究がおこなわれた。階層からしてさらに高度な立場より生体を見るとき人間そのものが関心の対象となるが、その視点が医学、社会学、哲学へと広がっていくのは当然なことであり、その方面からの研究も大いに進められた。その関係の研究としては、松本の脳科学研究から心の理解へ、清水は個と全体、武者は双極子追跡法による脳活動の推定、平川らは光刺激によって引込みを起こしたα波の位相ダイナミクスなどがあった。しかし、狭い意味での生命現象に拘らないという立場をとったために、少し焦点が広がり過ぎたということがあるかもしれない。この点では、不決定性にこそ生命現象としての特徴があるかもしれないと考え、当初それを深めよう考えたが、これは難問であり、今後の課題として残されている。
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