研究課題
本研究は、沿岸部での強風による塩害の実態に関する資料収集、九州各地区での自然海浜及び海岸保全施設背後への飛沫の飛散量に関する現地調査、風による飛沫の飛散に関する風洞実験より成る。まず塩害の実態に関する資料収集については、九州各県における県庁、九州電力等の塩害問題に関わりの深い機関に対して調査を行ない、塩害による保安林配電施設への被害の実態をかなり把握できた。被害の大きかった実積を持つ広島県についても調べた。つぎに現地調査については、各担当者が一同に会して、現地調査の調査法について調整を行なった。その上で各県の海岸において、強風時を待って見地観測を実施した。その成果は、各担当者レベルで整理中であるが、本調査が2ケ年調査であるので、次年度の成果と合わせて整理することになる。最後の水理模型実験については、長さ35m、高さ0.935m、幅0.6mの風洞付一次元造波水槽を用い、平均風速11〜17m/sの風を吹かせることにより飛沫量の測定を行なった結果、飛沫量の鉛直分布について興味ある結果が得られた。飛沫量の鉛直分布の測定値において、波の峰の位置における高さすなわち波頂高さにおける飛沫量をq_aとし、その飛沫量が1/e・q_a(eは自然対数の底)に減少する位置の波頂からの高さをBとしたとき、飛沫の鉛直分布は、Z/B〜q/q_aを片対数方眼紙上直線分布で普遍的に表示できることがわかった。