偏微分方程式の数値解析理論の先端技術への応用に関する総合的研究

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04305013
• 研究機関: 東京理科大学
• 研究代表者: 大西 和〓 東京理科大学, 理学部, 教授 (20078554)
• 研究分担者: 友枝 謙二 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (60033916) ; 磯 祐介 京都大学, 理学部, 助教授 (70203065) ; 登坂 宣好 日本大学, 生産工学部, 教授 (00059776) ; 早川 款達郎 大阪府立大学, 工学部, 教授 (10028201) ; 永倉 安次郎 東京理科大学, 理学部, 教授 (60112900)
• キーワード: 偏微分方程式 / 近似理論 / 数値解析 / 計算力学 / 有限要素法 / 境界要素法 / 逆問題 / 積分方程式

研究概要

本研究の目的を、応用指向型の基礎研究を強化し、偏微分方程式の数値解析理論の整備とその成果の先端技術への移転を促進することとした。函数方程式の理論とその近似理論に関連して発展してきた種々の数値解析理論、工学的要求から開発された計算手法等、各研究分野での知識を調査し、共同で検討を加えて先端技術への応用に資することが最大の目的である。
重点目標として以下の通り設定した。
1.偏微分方程式の数値解析理論の先端技術への応用という観点から新しい数値的方法を開発し、その数学的基礎理論を展開する。
2.先端技術開発において必要な工学上の諸問題に対する数理モデルの再検討とその数理モデルに対する解析法と計算法の開発並びに向上を図る。3. 理学・工学にまたがる広領域研究分野の統合、共同研究の促進。
2年目の本年度は主に工学上の応用に重点を置き、工学の信頼性ある計算道具として実用となる研究を念頭に置きながら、具体的な諸問題への適用を図った。
研究実施計画の本年度分は次の通りであった。1. 自由表面を有する流体の動的挙動の数値解析。2.弾性問題の高精度解析法。
3. 非線形弾性問題の積分方程式を基礎とする新解法。4. 弾性波動論の非破壊評価への応用。5. 偏微分方程式の係数推定に関する逆解析。6. 構造問題のシンセシスと関連する逆問題。7. 最適設計のための感度解析法。8. 電磁システムのシミュレーションと設計への応用。9. 気象現象、特に地形性降雨の解析。
これらのテーマについて、以下の研究打合わせと研究集会を主な討議の場として協議・研究連絡を行った。
1. 科学研究費総合(A)研究集会「粘性流れ問題の近似スキームと数値シミュレーション」、京都大学数理解析研究所、登坂宣好・田端正久・磯 祐介幹事、1993.8.16-18.
2. 京都大学数理解析研究所研究集会「工学に現れる偏微分方程式の数値解析とその周辺(III)」との合併、磯 祐介幹事、
1994 .3.7-9.

研究成果

• [文献書誌] Onishi,K.,Ishigaki,M. Tokunaga,M.: "Tical current evaluation for the construction of new islands." Computational Mechanics-Sydney. 1117-1122 (1993)
• [文献書誌] Onishi,K.,Kobayashi,K.Ishigaki,M.,Aramaki,G.: "Flow simulation in shallow waters." Computational Engineering-Seoul. 119-124 (1993)
• [文献書誌] 今井仁司・中村正彰: "磁気ベナール対流の簡約化モデルとそのシミュレーション" シミュレーション. 12(2). 99-106 (1993)
• [文献書誌] 今井仁司・周偉東・河原田秀夫 沢栗利男・名取亮: "不適切な問題に対する適用可能な数値解法の検討" 数理解析研究所講究録. 102-112 (1993)
• [文献書誌] 周偉東・今井仁司・名取亮: "自由表面を有する熱対流の数値シミュレーションと線形安定性解析" 日本応用数理学会論文誌. (掲載予定)4(1). (1994)
• [文献書誌] Hanada,T.,Imai,H.Ishimura,N.: "Analytical approach to estimating the dimension of attractors." Applied Mathematics and Optimization.
• [文献書誌] Ushijima,T.,Matsuki,M.: "Fully discrete approximation of a second order linear evolutionequation related to the water wave problem." Lecture Note of Mathematics. 1540. 361-380 (1993)
• [文献書誌] Ushijima,T.,Fu,R.,Matsuki,M.,: "Numerical analysis of linear water wave problem and eigenvalue problem of Steklov type." Series on Applied Mathematics,World Scientific. 5. 168-183 (1993)
• [文献書誌] Matsuki,M.,Ushijima,T.: "A note on the fractional powers of operators approximating a positive definite selfadjoint operator." Journal of the Faculty of Science,The University of Tokyo. 40-2. 517-528 (1993)
• [文献書誌] Matsuki,M.,Ushijima,T.: "Error estimation of Newmark's method for conservative second order linear evolution equation." Proc. the Japan Academy. (to appear)69. 219-223 (1993)
• [文献書誌] 符儒徳,牛島照夫: "軸対称容器内の水の波固有値問題の有限要素計算-収束率の数値的測定-" 日本応用数理学会論文誌. 3(3). 257-277 (1993)
• [文献書誌] Kanayama,H.,Toshigami,K.Tashiro,Y.,Tabata,M. Fujima,S.: "Finite element analysis of air flow around an automatic guided vehicle." Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics. 46&47. 801-810 (1993)
• [文献書誌] Tabata,M.,Fujima,S.Itakura,K.: "Numerical simulation of streamlines emerging from the surface of a circular cylinder in high-Reynolds-number flows." Series on Applied Mathematics,World Scientific. 5. 146-154 (1993)
• [文献書誌] Fujima,S.,Tabata,M.: "Extension to three dimensional problems of the upwind finite element scheme based on the choice of up- and down-wind points." Computational Methods in Applied Mathematics and Engineering. (to appear). (1993)