研究課題
総合研究(A)
大学は、学術研究とくに基礎研究実施の中核的機関として位置づけられている。しかし、その実際の役割については、必ずしも十分に研究されているとは言いがたい。とりわけ昨今、高等教育の大衆化に対応して、大学の自己評価、大学設置基準の大綱化が導入される中で、教育とならぶ大学の役割である「研究」に関する総合的理解の不足は、今後のあるべき大学の姿を構想する際の大きな障害となるものである。本研究は、そのような事情を踏まえつつ、大学の研究機能に着目して、これまでの歴史、現状分析および将来展望を通じて、政策的にも意味のある調査研究を行うよう務めてきた。本年度に行った研究は、おおむね以下の通りである。第一に、前年度までに分析したわが国の大学の研究機能に関する問題を実証するために、いくつかの大学について、資料入手および訪問調査などにより事例研究を行い、具体的な分析作業を行った。第二に、政策との関連性をつけるために、大学の研究機能の発展と変容にかかわる政府の諸政策の内容を調査し、それぞれの効果・影響などについて分析した。第三に、大学の研究機能と教育および社会サービス機能との相互関係およびそのバランスについて、前年度までの調査研究の成果にもとづき分析した。第四に、経済社会システムおよび高等教育システムの変化を視野に入れつつ、わが国の大学の研究機能についての将来展望を行った。また、これに関連して、「学術研究と大学」というテーマで、研究会メンバー以外の識者(大崎 仁、黒羽亮一、中山 茂、原 康夫の各氏)を招いて拡大研究会を行い、意見交換の機会を持った。
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