民間公益活動に対する税制の国民経済上の効果

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04306016
• 研究機関: 立命館大学
• 研究代表者: 柴田 弘文 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80112001)
• 研究分担者: 加藤 竜太 滋賀大学, 経済学部, 講師 (60242971) ; 北村 裕明 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80144278) ; 常木 淳 大阪大学, 社会経済研究所, 助教授 (10207425) ; 川野辺 裕幸 東海大学, 政治経済学部, 教授 (60119667) ; 川口 清史 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (40102157)
• キーワード: フィランソロピー / 公益法人 / 公益事業 / 優遇税制 / 寄付金税制

研究概要

教育、文化等の民間活動に対する寄付金に対しては、所得税や法人税を免除または軽減する等の税制上の措置が採られることが多い。それらの措置はその方法によって民間公益活動へ向けられる資金の総量に変化を及ぼすと同時に資金が一旦一般歳入となり改めて予算として配分された場合とは異なる活動に配分されることが考えられる。
本年はフィランソロピー活動の一層の拡充への要請が高まる今日、我が国の公益活動の実績および寄付金に対する特別税制の目的およびそれらの目的達成上の有効性を分析した。またどのような分野の公益活動が国の財政支出による助成の対象として適切か、又どのような財政措置が助成方法として適当かと言ういわゆる公と私の役割分担についても明らかにしようとした。さらに寄付の税制上の優遇措置が、公益活動に活用される資金の全量およびその配分をどのように変えるか等の経済的効果および優遇措置による公益活動の活性化のもたらす社会的、文化的な効果の数量的規模についても分析した。
更に我が国および主要諸外国の寄付金課税の制度面及び数量面でのデータ収集を行いそれらの歴史的発展と現況を比較・分析した。又、寄付金税制についての理論的根拠についての、及び代替案についての、これまでの諸外国の研究論文を収集・分析した。特に北村裕明が英国のデータの収集・分析、加藤竜太がフランス、デンマークのデータの収集・分析、川野辺裕幸が米国のデータ収集・分析、川口清史が日本のデータ収集・分析、常木淳がオーストラリヤ、ニュージーランドのデータの収集分析、□加藤竜太が日本のデータに基づきシミュレーション分析、柴田愛子が効用最大化の見地から個人のボランタリー活動の可能性を理論的に分析、井堀利宏が研究協力者として寄付税制の理論的分析、柴田弘文が米国、独乙のデータ収集・分析及び理論的分析と研究の総括をそれぞれ行った。

研究成果

• [文献書誌] 柴田弘文: "フィランソロピー活動課税についての一考察" 財政学研究. 19. 18-25 (1994)
• [文献書誌] 柴田弘文: "教育援助をめぐる税制問題" 大学時報. 239. 62-68 (1994)
• [文献書誌] 柴田弘文: "フィランソロピー活動に対する税制" 季刊社会保障研究. 328-329 (1995)
• [文献書誌] 柴田弘文: "フィランソロピー活動特に教育援助をめぐる財政問題" 国際公共経済研究. (1995)
• [文献書誌] 井堀利宏: "寄付税制の経済分析" 経済学論集(東京大学経済学会). (1995)
• [文献書誌] 川野辺裕幸: "フィランソロピーをめぐる問題と政府の役割" 行動科学研究. 45. 1-10 (1994)
• [文献書誌] 北村裕明: "イギリスにおける公益寄付金税制の動向" 公益法人((財)公益法人協会). 22. 7-11 (1993)
• [文献書誌] 北村裕明: "非営利団体と税制ー寄付税制の日英比較を中心にー" 財政学研究(財政学研究会). 19. 26-33 (1994)
• [文献書誌] 北村裕明: "社会的経済理論と非営利団体ー第9回国際公共経済学会の議論を中心にー" 公益法人((財)公益法人協会). 24. 8-11 (1995)
• [文献書誌] 北村裕明: "非営利団体の機能ー滋賀県の事例をふまえて" 滋賀の経済と社会((財)滋賀総合研究所). 75. (1995)
• [文献書誌] 加藤竜太: "Economic Effects of Taxation on Charitable Activities" 彦根論叢(滋賀大学経済学会). 292. 199-208 (1995)
• [文献書誌] 川口清史: "非営利セクターと共同組合" 日本経済評論社, 217 (1994)