研究概要 |
本研究の目的は,現在の大学入試にかかわる受験競争を支えている諸要因を社会的,経済的,文化的な様々な側面から分析し,大学入試を取り巻く社会環境を構造的に明らかにし,大学入試政策の可能性と限界を考察し,今後の入試政策策定のための基本的枠組みの構築を図ることである。 この目的に沿って,研究実施計画では大別して以下の5点を計画した。(1)戦後の大学入試政策について,政策の立案過程,実施過程,結果の分析と,その総合的な政策評価。(2)国立大学の入学者選抜制度の現状と問題点の分析。(3)私立大学の入学者選抜の現状と問題点を明らかにするための全国的調査。(4)受験産業の実態に関する調査,(5)大学入試競争を支える社会的・経済的・文化的な諸要因について,総合的に分析するためのセグメンテーションの設定と,従来の研究成果のこれに即した分析・評価。 3年間の作業・成果としては,とくに(3)が中心になった。そこでは,平成5年度,平成2年度,昭和63年度,昭和56年度,昭和52年度の6年度を対象として,全国の私立大学に関する入試教科目に関するデータの分析を行い,私大の入試教科目に関する基礎集計を作成すると同時に,近年の入試教科目削減化傾向の実態を明らかにした。その他,(2)については国公立大学志願者の志願動向の分析,(4)については受験産業関係者のインタビュー調査を,(1),(5)については既存の研究のレビューを行うと同時に議論を深め,日本における受験競争激化の社会的,経済的,文化的要因を様々な面から考察した。 なお,旅費は,研究分担者の研究打合せ,および主に上記(3)・(4)のための調査・研究のために,消耗品,謝金はそれら資料の整理や,(1)〜(5)の分析に必要な文献・データ収集のために用いた。
|