研究課題
平成4年度においては、重点領域研究発足のための基礎的資料の蓄積と内外の学術ネットワークの強化を目的とした。そのために、10回にわたる研究会を開催し、国内から18名、国外から14名の報告者からの発表を得た。国外研究者の内訳は、中国8名、ロシア1名、ラオス1名、フィリピン1名、インドネシア1名、シンガポール1名、カナダ1名である。専門的知識・データ収集の積極的機会ととらえ、テープに収録して整理保存し、重要と思われるものについては、活字化の準備をおこなった。また、これを内外の学術ネットワーク強化の機会として利用したことはいうまでもない。その結果、対象地域内で開催される本研究に関連する国際会議についての情報はほぼ完全に掌握しうる態勢が整った。さらに国内においても同様の態勢が整うと同時に、あらたに本研究に関連する国内の研究者組織の統合体として「環日本海学術情報連絡会(仮称)」が、平成5年4月に発足する運びとなった。研究成果の公表については、昨年度から継続的に準備を重ねた『環日本海叢書』の第1巻を発行し、専門的知識聞き取り作業の重要と思われるもの数点を報告書として印刷した。さらに、研究情報を整理した「つうしん」を第5号まで発行した。本年度の研究からは、当該地域の国際環境がきわめて流動的であることが再確認され、また、たとえばバルト海圏などと比較してみても、他の広域国際圏とは異なり、経済交流が突出していることが認識された。重点領域研究として採用されれば、研究成果についての格段の飛躍が期待できる確信を得た。