研究課題/領域番号 |
04352008
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
篠塚 雄三 山口大学, 工学部, 助教授 (30144918)
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研究分担者 |
田口 常正 大阪大学, 工学部, 講師 (90101279)
谷村 克己 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00135328)
前田 康二 東京大学, 工学部, 助教授 (10107443)
吉田 博 東北大学, 理学部, 助手 (30133929)
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キーワード | 半導体 / 電子励起 / 非平衡固定 / 欠陥反応 / 不純物・転位 / 構造変化 / 電子格子相互作用 / 格子緩和 |
研究概要 |
最近、半導体・絶縁体において、光や電子線をあて電子を励起させると原子が大きく動く現象が次々に見いだされている。これらは「結合電子を励起することで原子系が再配列する現象」と統一的に捉えることができる。本総合研究では、個別的現象論に陥ることなく、分野間の垣根を越えて「電子励起状態を通してみた原子凝集機構」をキーワードに、原子移動の機構とその応用について企画調査を行った。平成4年10月22〜24日に山梨県小淵沢で行った研究会では、班員以外にも広く呼びかけ、次の項目について発表・討論を行った。(1)物質の凝集形態の違いによる原子移動機構の類似点と相違点。(2)非平衡物質ともいえるアモルファス物質での電子励起による構造変化の機構。(3)半導体電子素子などの劣化現象の原因とされている欠陥反応の機構。(4)電子励起状態のもとで原子を凝集させ、熱的な過程では不可能な新物質・新機能素子を作成することの可能性。(5)電子励起の方法による違い。活発な討論・調査を通じて、基底電子状態に束縛された旧来の物質群と物質観から解放され、電子・原子を総合した高次空間で凝縮物質の構造と電子状態を包括的・大局的に扱う「新物質科学」への道が見い出された。そこでは、電子励起状態を通じて原子凝集機構の多層性を知るという物質科学での基礎的発展とともに、原子移動過程を利用することで新しい電子素子・人工物質を作成するという物質工学への貢献が期待できる。なお本研究調査活動の成果を基に、雑誌「固定物理」の別冊特集号<電子励起による非平衡固体ダイナミックス>が編集され、平成5年3月に出版される。また、本研究領域を一層推進するために、平成5年度科学研究費総合研究(B)「電子励起による非平衡固定ダイナミックス」および平成6年度発足科学研究費重点領域研究「電子励起による新物質科学の創出」が計画・申請された。
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