研究課題/領域番号 |
04352009
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村田 好正 東京大学, 物性研究所, 教授 (10080467)
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研究分担者 |
寺倉 清之 東京大学, 物性研究所, 教授 (40028212)
高柳 邦夫 東京工業大学, 理学部, 教授 (80016162)
八木 克道 東京工業大学, 理学部, 教授 (90016072)
吉森 昭夫 岡山理科大, 工学部, 教授 (50013470)
興地 斐男 大阪大学, 工学部, 教授 (20029002)
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キーワード | 表面動的過程 / 量子過程 / 非熱的過程 / 第一原理分子動力学法 / 紫外レーザーと表面の相互作用 / 脱離現象 / 表面反応 / 反応場の構造 |
研究概要 |
表面物性の研究は転換期にあり、静的は構造・物性はかなりの程度解明がすすみ、動的現象の研究へと進みつつある。その表面動的過程の熱平衡状態での研究は古くから行われているが、本研究では量子過程としての動的現象を素励起に近い形で観測し、表面の特異性を結び付けて論じる新しい概念を提出した。一方、表面の動的現象を非熱的過程として取り扱う必要があるが、そこでは下地という大きな熱浴があるため、そこへのさまざまな脱励起過程が迅速に起こり、観測を非常に困難にする。その困難を克服し、成果が植られ始めている。数例を列挙する。 Si(001)表面での相転移を第一原理分子動力学法とモンテカルロ法を用いて理論的に解析し、ストリークパターンまで含めてLEEDの最近の実験値をよく説明できた。紫外レーザーと表面の相互作用として、価電子励起に伴う脱離現象が観測されている。Pt(001)、(111)-NOからのNO分子の脱離を観測し、共鳴多光子イオン化法により脱離種を状態弁別して検出した。励起光の波長依存性等の測定結果から脱離機構を求めることができた。また高い反応選択性が観測され、それもこの機構で説明できた。一方、GaP、GaAsの(110)清浄表面からのレーザー誘起原子放出で、Gaを共鳴多光子イオン化法により高感度検出をし、原子放出が熱縁起でなく、電子励起であり、表面欠陥を媒介として起きることを明らかにした。これらの現象を理解するには表面・分子相互作用系として励起状態まで取り入れた理論計算との協力が必須であり、その方向に進展しはじめている。表面反応にもう一歩踏み込んだものとして、反応生成分子の脱離の角度分布、速度分布の測定から、反応場の構造を反映した反応ダイナミックスという概念が確立できる測定結果が得られている。また分子線の散乱でも状態弁別した測定へと向いはじめている。これらは研究成果報告書としてまとめた。
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