研究課題/領域番号 |
04401001
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木曽 好能 京都大学, 文学部, 教授 (40025060)
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研究分担者 |
浜野 研三 京都大学, 文学部, 助手 (00198813)
伊藤 邦武 京都大学, 文学部, 助教授 (90144302)
内山 勝利 京都大学, 文学部, 教授 (80098102)
山本 耕平 京都大学, 文学部, 教授 (70025071)
薗田 坦 京都大学, 文学部, 教授 (40047072)
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キーワード | 人間本性 / 論理的必然性 / 因果性 / 心身問題 / 言語哲学 / イデア論 / 生命倫理 / 環境倫理 |
研究概要 |
1.本研究の目的は、西洋思想史上にあらわれたさまざまな人間観について、これまでの歴史理解にとらわれない新たな解釈にもとづいて検討を行うとともに、その成果を基礎にして現代の社会において採用すべき哲学的人間観を展望しようとするところにある。 2.平成4年度は、この課題に沿って、古代ギリシア哲学における人間観(その存在論的、宇宙論的前提および社会・政治的思想)から、西洋中世、ルネサンスの人間理解、そして西洋啓豪思想期における人間本性の分析についての批判的検討を行った。また、現代における法思想、社会理論、技術思想の特徴についても詳細な分析がなされた。 3.これらの分担者各自の個別的研究と並行して、共同作業として、哲学的人間論構築のための理論的基礎づけの作業を、研究発表および討論という形式の下に何回か行ったが、その作業の過程でとくに、次のような知見が得られた。 4.これまでの西洋思想において支配的であった人間の心身関係の関する二元論について、その論証に含まれている、認織論的区別と実在的区別という二つの区別の間の関係に関する理解が、誤っているものであることが明らかにされた。このことは、「思考における必然性」「思考可能性」という概念についての新たな厳密な分析によって確認された。 5.また、人間本性に関する従来の抽象的規定を廃し、動物行動学等の成果をとりいれた新たな認識論のパースペクティヴを採用することによって、倫理的価値に関するより妥当で生産的な議論が可能になる、という別の知見も得られた。このことは、環境倫理や生命倫理、動物の権利の問題のような、今日その解決が急がれている問題について、認識論上の反省が深く関わりをもつことを明らかにした点で、重要な成果であると思われる。
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