この研究は現段階における都市自治体の都市政策・都市計画・地域政策の特質を明らかにするとともに、都市社会全を把握するため市民生活総過程研究の方法の開発を目指すものである。 今年度は広島県福山市と兵庫県神戸市と東京都との比較研究をした。うち福山市についてはほぼ調査を完了し、本年度は主として東京都の上記課題について調査をした。 1 調査の狙い 1)テーマの設定と暫定的結論 一極集中のもとでの東京(首都圏)の変動の諸相を都市官僚制の公共政策の展開と都市社会構造の諸過程・領域のモメントとの関わりで、現段階〔転換期以降〕の都市社会をめぐる政策の特色を社会学的に解明する。80年代の前半の「都市財政危機」(都財政再建)期と80年代の後半のバブル経済期(プラザ合意以降)とバブル崩壊期に時期区分を設定。〈80年代後半は国際的になり自己中心的にリストラできない。したがって都市のリストラのパートナーは製造業から金融へシフトしたが(「民営化」と「世界都市化」)、この構図がバブル経済の崩壊によってくずれ、リストラの主体と政治的分脈としてのコープラティズムの組合わせが不透明になった〉。
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