〔資本〕にとっての都市の適切な土地供給の方法としての〈空間化〉=「商品化」。資本にとって、都市の限界ある「土地所有」を適切に供給するための方法として、立体的に「土地所有」を〈空間化(容積化)〉させる。〈空間化〉された床面積は、(1)物件として権利変換可能(技術的には「立体換地」と呼ばれる)とされ、従って「商品化」された〈空間〉として文字どおり立体的に編成され、さらに(2)「建築自由」の〈空間(容積)〉として、それ自体が、都市開発関連資本の産業の素材化・形態化(物質的基盤)される。 都市における「近代的土地所有」、近代的「公共性」(ないし公共性基準)、に関する〈社会的カテゴリーの再調整〉については、限界化された土地、したがって希少的財としての都市の「土地所有」を〈空間化〉=「商品化」へと編成するのは、基本的には公共政策としての〈近代的都市開発/都市再開発〉である。都市の「私的土地所有」は、近代的都市開発という公共政策と、その内実としての〈公共性〉基準に依拠してはじめて平面的な素材性・形態性から解放され、立体的な素材・形態へとと孵化される。そしてこの素材は、権利変換システムという法技術的規範を介して、あらためて〈空間化〉=「商品化」としての地位を獲得する。すなわち〈空間化(容積化)〉された素材・形態は、「貨幣を媒介とする経済システム」(ハバーマス)における〈市場の論理〉にゆだねられる。後にふれるように、都市生活者にとっての「土地所有」、つまり「生存的土地所有」(渡辺洋三)にとってはまさに「経済システムによる生活世界の植民地化」が、国家ないし都市官僚制による都市開発・都市再開発という〈公共性〉を介して浸透していく。従って生活者にとっての「土地所有」は、こうした〈空間化〉=「商品化」に対抗する、生活世界からの「私的土地所有」のパラダイムをみずから防衛するか、それとも新たなる「私的所有」を〈生活の論理〉から批判的に再構築するパラダイム転換を志向することになる。
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