研究課題/領域番号 |
04401007
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
宮野 勝 中央大学, 文学部, 助教授 (30166186)
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研究分担者 |
白倉 幸男 北海道大学, 文学部, 助教授 (20135643)
石川 晃弘 中央大学, 文学部, 教授 (80055178)
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キーワード | 社会的公正 / 平等原理 / イクイティ原理 / 必要原理 |
研究概要 |
計量社会学、理論社会学的な観点から、意識調査データの分析を進め、その中で理論命題の構築を試みた。現在までに得られた主な知見は、以下のとおりである。 1.分配の対象となる資源に応じて、適用可能な公正原理自体が異なる。例えば、給与の分配と医療の分配とでは、「貢献」とか、「努力」などの意味が著しく異なり、公正原理自体に相違が生じる。 2.社会的に重要な資源ほど、公正原理全体に対する支持率が低く、公正な分配は困難になる。例えば、命に関わる手術では一般に公正とみなされる原理が少なく、それに対して、社宅の分配では、それぞれの原理がより多くの支持者を集めている。 3.スタート的な資源では平等原理、ゴール的な資源ではイクイティ原理や必要原理が支持される。例えば、医療や社宅では機会の平等や手続き平等の原理が好まれ、財産・収入では努力・責任・辛さなどのイクイティ原理が好まれる。 4.自分への分配に有利な原理を選ぶという利己心原理は、作用している場合もあるが、必ずしも当てはまらない。理念や価値観を優先して公正原理を考えている人が少なくないようである。ただし、自分に有利な特性がないと考える人は、結果の平等を主張するなど、今後に検討すべき課題が多い。 5.西側の人が競争原理を支持し、旧東欧諸国の人が平等原理や必要原理を支持するという単純な仮説には、大きな限定が必要である。例えば、東側でも賃金や財産・収入の分配に関してのメリット原理は受け入れられている。この他、国によるさまざまな相違があり、これらの説明は今後の課題である。
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