研究分担者 |
神田 秀樹 東京大学, 法学部, 教授 (90114454)
内田 貴 東京大学, 法学部, 教授 (20107494)
樋口 範雄 東京大学, 法学部, 教授 (30009857)
山下 友信 東京大学, 法学部, 教授 (10107485)
菅野 和夫 東京大学, 法学部, 教授 (40009808)
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研究概要 |
本年度は,昨年度に本研究の着想の契機となったアメリカにおける諸種の不法行為改革の最新の動向と各種事故被害者救済制度の総合的研究について十分な理解を得るための資料収集活動を経て得られた知識や研究手法・分析枠組みについてのアイディアを参考にして,わが国における事故被害者救済制度の総合的研究を行うための基本的枠組みのあるべき姿を探ることを目標とした.既ち,本共同研究計画に加わっているアメリカ法,民法,商法,行政法,法社会学の各専門家が,各自の専門的立場から研究の対象と手法を提案しこれらを相互調整するという作業を重ねることによって,様々な視点からみてバランスのとれたかつ一貫する研究枠組みの骨格を策定し,もって,わが国における事故被害者救済制度の研究を俯瞰したうえで総合化の可能性を分析することを図った.その結果,労働者災害保障や健康保険制度を始めとする各種社会保険制度,私営保険制度,国家賠償法制,民法上の不法行為制度等等各分野毎の救済制度の法的仕組と特色については,一層の理解を深めることができたといえる.しかしながら,各専門領域の枠組みを取り払い共通の土俵を構築することは,各分野の独立性が強く,予想以上に困難であった. さらに本研究の主題と関係する分野における統計データ等の実証的考察に必要な基礎的研究がわが国では未だ十分ではないことも痛感させられた.したがって,各種の事故被害者救済制度の異同や相互関係を明らかにする研究のためのそれぞれの分野についての理解は相当程度深まったといえるが全体として整合的な制度となりうるかの分析や,この分析を踏まえた各種救済制度の効率,公平度,事故抑止機能まで野にいれた総合的な分析・評価は,これからの研究課題である.
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