研究概要 |
地域比較のプロセスに関する発表を中心とした研究会を6月・9月・12月の計3回開催し,発表者の提供した話題をもとに討議を行なった。6月は応地利明が「海域世界における地域研究のあり方」,9月は高谷好一が「東南アジア世界研究の新視点」,12月は金田章裕が「オーストラリア・アボリジニ研究の現在」,成田孝三が「那覇と都市空間」と題し発表した。各発表者はそれぞれのフィールドにおける方法論的問題とそれへの取り組み方について報告し,有意義な議論が展開された。これらの報告内容については平成6年度末に刊行される研究成果報告書に記載される予定である。 一方,共同調査については,当初計画では長崎県五島列島を予定していたが、研究分担者の中には前年度に引き続き沖縄での調査を希望する者,あるいは共同調査の前提としての資料収集を目的とし九州地方での滞在を希望する者がいたため,最終的に共同調査の実施には至らなかった。この点は来年度に向けての研究計画上の大きな反省点であり,来年度予算との勘案の上で来年度の共同調査の実施について更に検討を進めていく予定である。 以上のように今年度は研究期間の中間年度という性格もあり,各研究分担者が各自の地域研究手法を探究・確立する方向で作業を進めたと総括できる。その意味では最終年度における研究の総括に向けての基盤が整えられたともいえ,来年度は研究課題に相応した成果が成就されるものと期待される。
|