研究概要 |
低バックグラウンド希釈冷凍機の長期安定性試験を地上の実験室において数カ月にわたって行なっている。温度、ボロメータの利得ともに非常に安定に動作している。その副産物として,テルル化カドミウム0.5グラムを使用したボロメータにより0νβ^+β^+崩壊(ニュートリノの出ない二重ポジトロン崩壊)の長期連続測定を行なっている。既存の半減期の下限値と同程度の下限値が得られる見通しである。比較的小さな結晶でこの様な結果が得られるということであらためてボロメータの威力が示されたといえる。 また、昨年来各種製作してきたNTD(Neutron Transmutation doped)Geサーミスタのうち、高感度のものが完成した。これにより、これまでの小質量のフッ化リチウムによる試作ボロメータを約30グラムの大質量にすることが可能となる。この30グラムのフッ化リチウムボロメータを約30個ならべて総質量1キログラムの暗黒物質検出器として間もなく千葉県にある東京大学宇宙線研究所鋸山微弱放射能研究施設(以下実験室)に移設して暗黒物質観測を開始することになる。
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