研究概要 |
パーフェクトロンを改造して次の4つの実験:フォトリシス実験、ラジオリシス実験、イオン・トラップ実験、オリエンテーション実験、等が総合的に行えるように、以下の修理・改造を行った。 (1)真空排気系の増強(新規購入):これまでパーエェクトロン本体の真空は12吋油拡散ポンプで排気してきたが、清浄真空が必要なため、クライオ・ポンプと交換した。これによりアミノ酸分子の質量領域、あるいはそのクラスター領域におけるバックグラウンドが著しく改善された。 (2)超音速ノズル・ビーム源の取付け(新規購入・試作):Ar,Heなどの稀ガスをキャリアガスとして、ビーム・シード法によるアミノ酸の超音速ノズルビーム源を試作し、従来使用してきたものと交換した。これによりアミノ酸分子の内部量子状態の冷却を行うことができ、高分解能円偏光レーザー・フォトリシス実験を行って、DとLとでスペクトルの微細構造の相違やフラグメントの角度分布の微小な差異を測定するための準備ができた。また、アミノ酸分子同士がクラスターを生成する課程でDとL同士でクラスタリングが選択的に起こるかどうかを試している。もし選択性があれば新しいD/L分離法としても有望である。超音速ノズル・ビームの性能は、次年度以降に予定しているフォトリシス実験、ラジオリシス実験、トラップ実験、およびオリエンテーション実験全ての成否の鍵を握っている。 画像粒子分光装置の取付け(一部改良):アミノ酸分子のフォトリシスを行うために、フラグメントの角度分布を精度よく測定する必要があり、パーフェクトロンの機能と組み合わせた画像粒子分光器を製作しパーフェクトロンの上部に取り付け、性能テストを行った。HBr分子の光解離で生じたBr原子の二つの微細構造状態の分布を、始めて画面上に明確に分離識別することに成功した。
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