研究課題/領域番号 |
04402011
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
浅沼 俊夫 千葉大学, 理学部, 講師 (50092028)
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研究分担者 |
平田 直 東京大学, 地震研究所, 助教授 (90156670)
伊藤 谷生 千葉大学, 理学部, 教授 (50111448)
伊勢崎 修弘 千葉大学, 理学部, 教授 (60107943)
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キーワード | 対馬海盆 / 大和海盆 / 北隠岐碓 / 地殻構造 / 海底地震計 / 制御震源 / 海底磁力計 / 大和碓 |
研究概要 |
平成五年度は、平成四年度に行った研究航海によって得られたデータの解析をおこない、日本海西部の陸海境界部におけるリソスフエアの構造とその発達史を考察した。 エアガンを震源とした地震探査の結果から、対馬海盆でのP波速度は、堆積層から上部地殻全体にかけて鉛直方向の速度勾配が大きく、海洋地殻に類似した分布をしていることがわかった。一方、北隠岐碓では、堆積層は薄く、基盤は大きく変形し、かつ基盤層の下の上部地殻は、P波速度が6km S程度で、比較的均質であった。 火薬を震源とした探査のデータから、対馬海盆では、地殻の厚さが14kmであることが分かった。これは、平均的な海洋地殻の約2倍の厚さである。対馬海盆と大和海盆は、よく似た構造をしていることが分かった。また、東西測線の火薬を震源としたデータより求められた、北部北隠岐碓の地殻の厚さは、堆積層を含めて24kmであった。上部地殻にP波速度約6km sの比較的一様な層が存在することと、地殻全体の厚さが大きいことから、北部隠岐碓には、大陸的な地殻が存在することが明らかになった。 また、三台の海底電位磁力計による観測結果から、対馬海盆下の地殻モデルを推定すると、上部地殻の比抵抗が、日本列島や朝鮮半島に比べて低い事が解った。これは、地殻内の自由水の量が多いことが主要な原因であろう。モデリングでは、上部マントルについての検証は行っていないが、一次元モデルの結果を考慮すれば、観測値からは160km以浅の上部マントルに良導体を必要とはしない。 中部沖縄トラフの北西縁下150kmの深さに10Ωmの良導体の上面が存在するという指摘があるので、対馬海盆にも160kmの深さに良導体の上面が存在すると考えられる。これは、背孤海盆に共通する性質と思われる。
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