研究課題/領域番号 |
04402014
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
|
研究分担者 |
福沢 仁之 北海道大学, 理学部, 助手 (80208933)
中川 光弘 北海道大学, 理学部, 助手 (50217684)
多田 隆治 東京大学, 理学部, 助教授 (30143366)
|
キーワード | 日本海 / 海水準変動 / 対馬暖流 / 東シナ海沿岸水 / 深層水循環 / 生物生産性 / 黄砂フラックス / 氷期-間氷期 |
研究概要 |
日本海への海流の流入は、主に氷河性の海水準変動により規制されていた。高海水準期には対馬暖流が流入し、中海水準期にはやや塩分濃度の低い東シナ海沿岸水の流入が卓越し、低海水準期には対馬海峡はほとんど閉鎖され、海流の流入はとだえたと考えられる。こうした状況が少なくとも過去80万年間にわたって継続したことから、対馬海峡の海峡深度変化に対するテクトニックの影響はほとんどがなかったと考えられる。 日本海の深層水循環は、日本海に流入する海流の塩分濃度に強く影響を受けた。高海水準期には、塩分濃度の高い対馬暖流が日本海北部で冷却されることにより深層水循環は活発で、また湧昇も活発で海は生物生産性に富んでいた。中海水準期には、塩分濃度がやや低い、東シナ海沿岸水が流入し、とくに海退時には深層水循環は減衰し、間欠的になった。3000年ないし5000年間隔で繰り返す間欠的な深層水循環にともなって間欠的な湧昇が起こり、その結果、海は生物生産性に富む状態と乏しい状態を繰り返したと考えられる。低海水準期には、日本海は外洋からほとんど孤立し、周囲の陸地からの河川水の流入により表層水の塩分高度が低下して、密度成層が強化されよどんだ海となった。表層における生物生産性は著しく低下し、現在の半分以下となった。 日本海への黄砂のフラックスは、氷期の最寒期に高く、間氷期に低い。ただし、最終氷期の24〜59kaにかけては、黄砂フラックスが低下しており、中央アジアが湿潤化していた可能性を示唆する。7万〜12万年前にかけて、堆積物中の黄砂フラックスが2000〜5000年周期で大きく変動する時期がある。これは、黄砂フラックスあるいは日本列島起源の砕層物フラックスの短周期の変動を表しており、前者は中央アジアにおける、後者は日本列島における短周期の乾燥-湿潤サイクルを表していると考えられる。
|