研究課題/領域番号 |
04402018
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
小川 智哉 学習院大学, 理学部, 教授 (50080437)
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研究分担者 |
馬 敏雅 学習院大学, 理学部, 客員研究員 (60255263)
楢岡 清威 学習院大学, 理学部, 客員研究員
雄山 泰直 学習院大学, 理学部, 助手 (20265573)
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キーワード | 光散乱トモグラフィー / シリコン・ウエハ- / セレン化亜鉛単結晶 / 赤外線 / 格子欠陥 / イントリンシック・ゲッタリング |
研究概要 |
Cz法で育成したシリコン結晶には多量の酸素が溶存している。これをウエハ-(薄板状)に加工して熱処理すると、表面近傍にある酸素は非常に高い蒸気圧をもつSiOガスとして表面から結晶外に放出され、denuded zoneと呼ばれている酸素の非常に少ない単結晶層を形成する。しかし、表面から遠く隔たった所にある酸素は表面から脱出できず、熱処理によってSiO_2の微粒子となってウエハ-内に止まる。この微粒子は その周囲に歪場を作るが、ウエハ-表面に付着した微量の金属原子は この歪場のために酸化物微粒子の周囲に集まって来る。この現象はintrinsic getteringと呼ばれ、シリコン工学で最も大切な現象である。 赤外線散乱トモグラフ法は、この酸化物微粒子の分布と密度を計測する最も有効で確実な手段として評価されてきたが、denuded zoneに内在する欠陥、とくに、鏡面研磨面直下にある欠陥の検出には不適当であった。今回、ウエハ-内部から鏡面研磨面で全反射が生ずるような角度で鏡面を照明すると、磨面直下にある不純物原子と欠陥を明瞭に検出できる事を確認した。この照明法では、レーザー光の主流は鏡面で全反射するので、鏡面を通して結晶の外部に出てくるのは不純物原子と欠陥で散乱された光のみになり、これらが明瞭に観察された。 光散乱法は重元素を構成要素として含むため、X線回折による評価が十分に出来ない結晶にも適用できると言う長所がある。この利点を生かして、ZnSe結晶内に存在する欠陥の観察を行い、非常に多数の転位線が積み重なった新しい欠陥形態を発見して、これをdislocation wallと命名した。
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