研究概要 |
レプリカ法によって疲労損傷過程を追跡するために,超高級万能写真顕微鏡とイオンスパッタリング装置を設置すると共に,既存の画像処理装置との整合調整を行った.とくにレプリカ法によって微少領域のひずみ測定を行う場合,レプリカフィルムの伸縮性がひずみ測定精度におよぼす影響,レプリカで定着した変位を超高級万能写真顕微鏡を通して画像処理装置に入力する場合の解像度と画像階調劣化,ひずみの3成分を測定する場合の最小3点の変位計測について,3評点の決定方法,3評点よりひずみを計算する方法などの検討を行った. 今年度は複合材料積層板の静的な材料定数を測定する計画であり、そのために熱硬化性複合材料と熱可塑性複合材料の積層板を設計製作した.試験片設計にあたり,荷重条件としては一軸引張と一軸圧縮を考え,斜交対称積層板の積層角を0°,45°,90°とした.試験片作製で使用材料についてとくに注意した点は,熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂母材の比較を容易にするために,強化繊維の種類を同一のものとしたことである。研究室で自動熱可塑性複合材料積層板作製装置を完成させ,熱可塑性(PEEK)斜交対称積層板の作製を行って引張・圧縮試験を行い,静的な弾性係数,引張強度を測定した.現在確立が望まれている複合材料の圧縮試験法について,試験片両端を固定するという方法を試み,この方法がかなり有力である試験結果を得た。 画像処理モアレ法によって,人工欠陥を有する複合材料の表面ひずみ分布を測定し,ひずみ分布変化が積層構成と初期剥離位置に強く依存するという興味深い結果を得た.理論的に剥離進展開始荷重と最終強度を解析する計算モデルを提案し,実験結果と比較して有効性を確認した.
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