研究概要 |
超高速マイクロ液流状態における流動機構の解明を目的として,超高速状態における特性としてキャビテーション特性を詳細に調べた。次に,ノズル内部およびノズル吐出し部の流れや狭い二次元流路内の流れ等を取り上げて,実験および数値解析を行い,以下のことが明らかになった。 1.前年度,実験に使用した超純水は,抵抗率18MOMEGA/cm以上の極めて純度の高い水であるが,キャビテーションの支配因子である空気含有度は,水道水等に比較して10%以上大きいことが明らかになったので,本年度は膜脱気法により超純水を汚染することなく脱気する装置を製作し,空気含有度が0.2以下の試料水を精製した。 2.超高速での流れパターンを詳細に調べるために,超高速気中水噴流および超高速水中水噴流の流れパターンの観察および壊食試験を行い,特に,水中水噴流では,噴流が周期的キャビテーション気泡雲を放出する興味深い結果を得た。また,壊食性も気泡雲に深く係わることを明らかにした。 3.狭い流路内の超高速流れの流れパターンを明らかにするために,狭い二次元流路内にキャビテーション噴流が噴出する流れを最高記録速度40,500コマ/秒のハイスピードビデオカメラなどを用いて詳細に観察し,得られたディジタル画像を画像処理して解析した結果,狭い二次元キャビテーション噴流においても,前述の超高速水中水噴流と同様な高壊食性キャビテーション気泡雲が周期的に生ずることを明らかにした。 4.上記の狭い二次元流路内の壊食エネルギーは,高周波帯域の振動加速度を検出することにより計測可能で,この壊食エネルギーは噴流の吐出し圧力,すなわち,噴流の全エネルギーに比例するが,振動加速度の最大振幅は噴流の2乗に比例し,速度の増大により壊食の危険性が飛躍的に増大する可能性を示した。
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