研究概要 |
マイクロロボットの概念構成には、過去の研究の成果として、申請者達のグループではかなり明確なコンセンサスができ上がった。エネルギーの供給方法についても,真剣に考えるべきときになってきた。最初は、静電力を利用するアクチュエータを用いてきた。確かに有力な技術のひとつではあるが、どうしても有線となるので運動が妨げられることもあり,無索でのエネルギー供給を実現したいと考えている.平成5年度は、機械的な振動の場の中で1.5mmx0.7mmのマイクロ蟻ロボットを歩行させることに成功し、内外に大きな反響を呼んだ。平成6年度は、まず、マイクロフライトロボットの開発を目的とした。1mm程度の大きさのニッケル膜の羽を磁化し、外から交流磁界を与えて羽ばたかすというアイデアである。これまで,シリコン基板に固定された状態でのシリコン羽ばたき機構の静電力による駆動には成功していたが、これとは異なる原理を追及しようとしたのである。 詳細については、学会の論文集や講演前刷集に発表したが、飛翔には成功した。姿勢の安定化のためおよびロボットの消失を防ぐためにロボットの中央に穴を明けて、中に垂直に極く細いガラスの棒を通した。このガラス棒に沿って、磁界の存在する上限まで上昇した。今後は、自己安定化を図る構造とか、よりよい機構の検討などマイクロフライトロボットの完成までになすべきことは多く残されているが、3年間の研究の最終年としては大きな成果が上げられたと確信している。将来の研究課題などもかなり明確になった。
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