研究概要 |
不平等電界ギャップの基本である棒対平板電極構成で発生する放電を対象として、ギャップの任意の位置に炭酸ガスパルスレーザを集光することにより、放電誘導が可能なプラズマを生成する実験系を構築し、放電をトリガないしはガイドできるレーザ生成プラズマの条件および周囲条件についてのデータベースの充実を図った。 レーザ生成プラズマ周囲の電界がポッケルスセンサによる測定によって初めて明らかにされた。直径1cm、長さ4cmの円柱形プラズマが生成され、その軸方向の電界は、プラズマ先端から1cm離れたところでピークで4kv/cmに達し、外部の印加電界を強めている。また、その電界は約80μsの周期で振動していることから、プラズマ内の正、負の電荷が互いに逆向きに振動していることがわかった。 一連の実験を通じて、放電がレーザ生成プラズマチャネルによってガイドされずに全く独立した場所にトリガだけされるという興味ある現象(放電トリガ効果)を見出した。棒-平板電極のギャップ構成において,棒電極に正極性直流電圧を印加した場合に放電トリガ効果が現れ,同時にギャップのフラッシオーバ電圧の低下が観測される。プラズマ生成からフラッシオーバまでの遅れ時間は,プラズマの発光時間に比べ10〜100倍程度大きく,生成位置がギャップ軸から離れるほど遅れ時間も増加する。電界測定から,プラズマの陽極側に負極性電荷が現れ,印加静電界を強めることがわかった。この電界に沿って,負イオンがプラズマチャネルから棒電極近傍までドリフトするが,その時間を計算するとその値によって、トリガ効果の遅れ時間がほぼ説明ができる。また,負イオンを人為的に減少させるとトリガ効果が生じにくくなった。これらの点から,放電トリガ効果の主要因は,プラズマチャネル中の負イオンのドリフト作用にあると結論づけられる。
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