研究概要 |
これからの青色レーザ研究でもっとも有力視されているMOVPE法において,窒素添加によるp型伝導度制御の研究を進め,500℃の高温成長ならびに窒素原料を700℃以上で熱分解する方法により,これまで問題になっていた水素結合によるアクセプターの中性化を防ぎ,10^<16>cm^<-3〜>10^<17>cm^<-3>のp型伝導を実現した.この成果に基づきpn接合を制作し,電流注入発光ならびにこれまで報告されている特性に比べ極めて低電圧動作しうることを示した. これまでレーザ動作が報告されているダイオードでは,動作電圧が10V以上と極めて高かった.この要因を理論的に解析し,測定された電流-電圧特性が,p型電極におけるショットキー接合を流れるトンネル電流及び熱電子放射電流で説明できることを示した.この理論結果を用い,独自に制作したダイオードではショットキー障壁が大幅に低減されていることを示した. MOVPE法で制作したZnSe/ZnSSe超格子構造において,通常界面揺らぎの影響が大きい厚さ2nmの薄い超格子でも,エキシトン吸収スペクトルが明瞭に観測されることを一光子吸収ならびに二光子吸収スペクトル測定で明らかにし,ヘテロ界面制御の改善が進んだことを確認した.また関連したエキシトン吸収スペクトルにおける1Sならびに2Sエキシトン吸収ピークよりエキシトン束縛エネルギーを見積もった. こうしたヘテロ界面の原子レベル評価を目指し,原子間力顕微鏡(AFM)を用いて研究を進めた.まづHCI処理するとGaAs基板表面を一原子程度の凹凸に平坦化することが可能であること,また通常の超純水処理では,表面酸化による水溶液中への溶解により原子レベルの表面平坦性が劣化することを明らかにした.一方,滑り力の測定を併用することにより半導体ヘテロ界面で半導体を識別できることを新たに見いだした.
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