研究概要 |
鉄系アモルファス合金を高速スパッタ法で作製し,磁性,磁気体積効果に関する研究を行い以下の結果を得た。 1.Fe-Y合金系は全組成域で強磁性を示さないが、磁場の印加により強磁性が出現し,磁場下での相図は他のFe系合金の無磁場下の磁気相図に極めて類似する。 2.Fe-Ce系アモルファス合金の磁気体積効果は顕著であり,キュリー温度よりもかなり高温まで熱膨張の異常が観測される。そのことを反映して,圧縮率もかなり大きくなる。 3.Fe-Y合金はスピングラスであるが,強磁性合金と同様な大きな自発体積磁歪を持ち,負の熱膨張を示す温度領域もあるが,この挙動は梯の理論で定性的に説明される。 4.La(Fe_xAl_<1-x>)B合金をアモルファス化しても,20面体クラスターが残存することが構造解析で明らかになった。このクラスターはFeとAlで構成されているため,Feの最近接の環境は変らないために,スピン凍結温度はLaを他の希土類元素で置換しても不変である。 5.上記の合金も他のFe系アモルファス合金と同様に大きな磁気体積効果を有し,熱膨張の異常および磁化,キュリー温度の圧力効果が著しいことが確認された。 6.メスバウー効果より求めた4極子分裂やアイソマーシフトのデータより,X線製造解析で得られた20面体クラスターの存在が確認された。 7.20面体のクラスターの構成元素を変えることにより,磁性,熱膨張,弾性特性など著しく変化することが明らかになった。
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