本研究は本年度で2年目を迎え、初年度作成した光電子分光用主測定室の整備に加え、試料作成用の蒸着室を設計、製作した。 (i)主測定室については、真空度は10^<-11>Torr台にまで入ることを確認した。また、試料基板の清浄化とキャラクタリゼーションを行うためのArイオン銃、低速低速電子線回折/オージェ電子分光装置の取付、動作確認などの整備を進めている。 (ii)蒸着室の設計に際しては、われわれのグループで並行して製作を進めている分子科学研究所UVSOR施設における角度分解光電子分光装置、高エネルギー物理学研究所フォトンファクトリーにおける超高真空軟X線吸収分光装置の試料蒸着室での経験を活かして、超高真空に適合し、さらに使いやすいものとするように工夫した。 (iii)以上のような基幹部の整備と並行して、具体的な測定に用いる静電半球型電子エネルギー分析器の組立調整、試料のキャラクタリゼーション用のペニングイオン化電子分光用励起原子源の製作・調整を進めている。これらを組み合わせて一時に全体の調整を行おうとしているのでやや日程的に当初予定より遅れているが、全体計画に本質的問題点はなく、おおむね順調に進んでいる。 (iv)今後、これらの総合的な試験として、銀、銅などの蒸着膜、さらには清浄化した単結晶試料の測定を行う予定である。
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