本研究は本年度で3年目を迎え、昨年度までに作成した光電子分光用主測定室、試料作成用蒸着室、および関連設備の調整、整備に加え、次のように研究を進めた。 (1)有機薄膜の精密蒸着用に、膜厚計および液体窒素シュラウドをもつ蒸着源を設計、製作した。この蒸着源は真空槽と独立に排気できるようになっている。設計に当たっては、分子研UVSOR施設における光電子分光実験や高エ研における軟X線吸収実験での経験を活かし、超高真空適合性に特に注意を払った。 (2)単結晶清浄表面の作成のためのLEED/AES装置の調整、および電子エネルギー分析器の製作、調整ははぼ終了し、金属蒸着膜、単結晶の測定を行う予定である。 (3)以上と平行して、別途財源によるペニングイオン化電子分光のための励起原子源が完成し、この調整を行いつつある。最終的にはこれを本システムに組み入れて総合的な実験を行う予定である。 もう一つの実験手段としてケルビン法による仕事関数測定装置を作成中であり、今年度中に調整を行いたいと考えている。
|