研究概要 |
本研究の最終年度に当たる本年度は、次のような研究をおこなった。 (1)これまでに立ちあげてきた実験室系における光電子分光器と、分子科学研究所極端紫外光実験施設のシンクロトロン放射光による光電子分光ビームラインを併用して、機能性有機固体、有機/金属界面の電子構造を明らかにした。具体的には、次のような系を対象とした。 分子性固体:シラキュバン、アルミノキノリン(Alq3)、セクシフェニル 高分子:ポリピリジン、ポリ(ビピリジン)およびそのアルカリ金属錯体 有機/金属界面:水素化テトラフェニルポリフィリン/Au,Ag,Cu,Al 水素化テトラピリジルポリフィリン/Au,Ag,Cu,Al アルミノキノリン/Au,Ag,Cu,Al 特に界面電子構造については、これらの結果と前に行った亜鉛テトラフェニルポリフィリン/金属界面の結果から、界面における電子準位の接合について従来しばしば仮定されていた単純なモデルが当てはまらないこと、界面準位を含めたより精度の高い実験が必要であることが明らかになった。 (2)光電子分光法と相補う手法として、分子配向についての知見を与えるペニングイオン化電子分光法のための励起原子源を立ち上げ、測定可能な段階にまで到達した。今後これを光電子分光と併用して、より詳細な界面構造、界面電子構造についての知見が得られると期待している。
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