研究概要 |
(X.eX)分光測定の基礎として昨年度に製作あるいは購入した励起用X線単色器と試料糟チェンバーおよびエレクトロニクス類を使用して、今年度は次の2種類の試験的なセットアップを組み、測定をおこなった。 1。入射X線角度固定+散乱電子角度分布可変(マイクロチャンネルプレート、MCP使用) 2。入射X線角度および散乱電子角度共に固定(偏向電極使用) いずれの場合にも励起効率を上げるため非対称カットした水晶(1011)面を分光結晶として使用し、銅Kα1線を使って励起にあてた。ただし10分の1程度のKα2線の混入が認められた。 1。の場合は2次元検出器で広い受光面積を持つマイクロチャンネルプレートを使用することにより、効率良い電子検出が可能であることから採用した。しかし、MCPは電子ばかりでなく、X線にも感度があるため、広い受光面積のために散乱X線も効率よく検出してしまい、電子による信号とX線による信号の識別は不可能であるために、このセットアップは(X,eX)同時検出に不適当であることが判明した。 2。は上記の失敗をふまえ、偏向電極を用いて電子軌道を湾曲させ、X線が検出器に到達しないような実験条件を設定して同期実験を行おうとしたものである。その結果、予想通り電子のみをエネルギー分解して検出することができたが、残念ながらまだX線光子と電子との同期検出には成功していない。次年度にかけ、更に目的遂行のため、努力する予定である。なお、本年度は本研究に関する、(X,X)とも云うべきX線ラマン散乱についても理論的研究を行った。
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