研究課題/領域番号 |
04403006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大野 惇吉 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027077)
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研究分担者 |
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10127277)
河合 靖 京都大学, 化学研究所, 助手 (20240830)
岡村 睦雄 京都大学, 化学研究所, 助手 (30215503)
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キーワード | 立体制御 / X線結晶構造回析 / 絶対配置 / 酵素 / 補酵素 / 酸化還元反応 / 不斉反応 |
研究概要 |
1.当該年度の最大の課題であった高合解能のX線結晶構造解析総合システムの導入・試動は平成6年1月に完了した(大野、畑、岡村、河合)。本システムの導入の第一目的である面不斉・軸不斉を含む新規化合物や不斉反応で得られた化合物の構造・絶対配置の決定を続々と行いつつある(畑、河合)。得られた立体化学の検討により反応機構の検討を行っている。あの種の不斉中心を持ったニコチンアミド誘導体では、その還元体における中心不斉が酸化体における軸不斉に変換されることを見出している。この変換の機構の解析を速度論および熱力学論の両面から検討し、さらに、X線結晶構造解析システムにより得られた立体化学の情報と総合して立体制御の検討を進めている。構造解析により、立体選択性と特定の極性基の配向の関係が解明されつつある(大野、岡村、河合)。 補酵素の活躍する本来の場である酵素の構造・立体制御機構の研究を行う総合システムに関する情報収集は終了した。次年度以降の、酵素の関わる立体制御反応の研究・開発の準備中である(大野、畑、岡村、河合)。スーパーコンピューターと連動した解析のネットワークシステムに関しては、現在構築中である。これらのシステムの運用および解析に必要な技術の修得は終了している(畑、河合、岡村)。 2.ニコチンアミド誘導体の反応は電子移動過程を含む多段階機構であると考えている。この実証のために、電極反応の速度や熱力学の測定を進めた。添加塩基に応じて酸化機構および立体制御段階が、補酵素アナローグのラジカルカチオンから置換ピリジンへのプロトン移動、補酵素アナローグから置換アニリンラジカルカチオンへの水素移動と異なることが判明した。多段階反応機構であることの証明となり、この機構における立体制御理論解明の重要な情報が得られた。さらに、金属イオンの触媒効果について電極反応において解析中である(大野、岡村)。
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