研究課題/領域番号 |
04403007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂田 祥光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60029874)
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研究分担者 |
武久 千晶 大阪大学, 産業科学研究所, 文部技官 (00243270)
今堀 博 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90243261)
兼田 隆弘 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50029899)
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キーワード | 共役パイ電子系 / 電子移動 / 電荷分離 / 光合成 / エナンチオ選択的呈色反応 / キラルホスト / ポルフィリン / アゾフェノール |
研究概要 |
光合成電荷分離機能と分子認識機能の二つの生体機能の解明に向けて種々の共役パイ電子系化合物を合成し、構造と機能との関係について次の様な点を明らかとした。すなわち、光合成電荷分離機能については、1.天然型ポルフィリン発色団に還元電位の異なる種々のキノン類を結合させてこれらの電子移動について検討し、電子移動速度がキノンの還元電位に依存することを見出した。2.ポルフィリン環にモノキノンおよびジキノン環をそれぞれ同一の、堅固なスペーサーで結びつけた化合物を合成し、それらの電子移動速度が電子移動過程の数に比例して大きくなることを見出した。この発見は今後、効率の高い電荷分離システムを構築する際の分子設計に有用だと考えられる。3.電子移動の溶媒効果に関する研究ではこれまで何らの関係も見出されていなかったが、今回、溶媒に新しいパラメーターを設定することで両者の間に放物線状の関係があることを見出した。4.光合成反応中心に存在する二量体クロロフィルに関連して、シスおよびトランス-エチレンで架橋したポルフィリン二量体を合成し、これらの構造が通常とは異なり、それぞれ重なり型、ねじれ型であることを明らかにした。さらに、アントラセン環が二個、直交して分子内で積み重なった化合物を合成し、その構造をX線解析によって決定するとともに、発光スペクトルを測定した。そして、この化合物が励起二量体に基づく蛍光を発することから、従来の、励起二量体構造は完全重なり型であるという理論的予測は誤りで、直交型でも励起二量体を形成できることが判明した。つぎに、分子認識能に関しては、ビナフチル発色団を含むキラルなアゾフェノール色素を含む環状ポリエーテルを合成し、エナンチオ選択的にキラルなアミン類を認識して、呈色が異なることを見出した。この選択性は錯体の立体構造から予想されるものと一致した。
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