研究概要 |
1.同位体希釈質量分析に用いる表面電離型質量分析計(フィニガンマット、THQ型)を導入し(平成4年10月)その性能試験を行った。陽イオン源としてネオジムを用いると、その142/144、145/144、148/144、150/144比は、セクター型質量分析計による値と0.2%の誤差範囲内で一致した。この精度は目的とする同位体希釈分析には十分なものである。また、陰イオンモードでオスミウムの同位体を測定した。試薬によるテストではあるが、10^<-12>アンペアの出力が1時間にわたって持続することがわかった。陰イオン出力は実際の試料を測定する場合を考えると、やや不足である。これは、微量の酸素ガスをリークした雰囲気下でのイオン化により、その効率が大幅に改善できると予想される。 2.岩石試料からの白金族元素抽出装置(試料融解抽出炉)を作成した。約50グラムの試料を1100℃で処理し、10^<-12>グラムオーダーの白金属元素を抽出できることがわかった。この量は分析に必要な量として十分なものである。さらに、回収率向上のための試験を継続している。 3.同位体希釈分析用スパイク( ^<191>Ir, ^<101>Ru, ^<198>Pt, ^<188>Os, ^<108>Pd)を作成した。金属 ^<191>Irの溶解は極めて困難で、高圧酸分解容器をもちい、6カ月を要した。次年度に標準試薬の調製を行う。 4.教室および年代測定資料センターに保管されている岩石試料から本研究に適する試料12個(カンラン岩、玄武岩、ハンレイ岩)を選別し、それぞれ300グラムを粉砕調製した。
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