研究概要 |
1.平成4年度に導入し、陽イオン源(Nd^+,Ba^+,Sr^+)用いて調整した質量分析計を陰イオンモードに変換、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、レニウム、白金、金、銀の試薬溶液をもちい、さまざまにイオン化環境を変化させ、測定の最適条件設定を行った。それぞれ数ngの試料を白金フィラメントに乗せた場合、750〜800℃でRe,Os,Ir,Ruの4元素が酸化物イオンとして、またAuが単体のイオン(Au^-)として検出された。これらのイオンは、820〜840℃になると10^<-12>〜10^<-13>アンペアのイオン電流で安定する。Re,Ir,Os,Ruはほとんどが各々ReO_4^-、OsO_3^-、IrO_2^-、RuO_3^-の形をとり、これらの1/100〜1/500程度のわずかなReO_3^-、OsO_4^-、IrO_3^-、RuO_4^-も検出された。 2.陰イオンとして検出される元素のうち、Auを除く4元素について同位体比の測定を試みた。5ngのOsについて、^<192>Osに対する同位体比を測定した結果、Re-Os年代測定に必要な^<186>Os、^<187>Osは各々±1.2%、±0.5%、同位体存在度が10%をこえる^<188>Os,^<189>Os、^<190>Osでは±0.3%以上の精度で測定できるようになった。また、30ngのRe,10ngのIr,30ngのRuではすべての同位体比を±0.5%以内の誤差で測定できるようになった。これらの測定精度は、同位体希釈法による定量分布を行うのに十分で、数g〜数十gの岩石試料からこれらの元素を抽出することにより、その存在度を精度良く決定できることとなった。 3.北海道天塩産のイリドスミンを直接白金フィラメント上に乗せ、IrとOsの同位体比を測定した。^<187>Os/^<186>Os比は1.022±0.025で、マントルに予想されるOsの同位体成長曲線からは約350Maのモデル年代が得られた。
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