研究課題/領域番号 |
04403014
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属材料
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増本 健 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20005854)
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研究分担者 |
菊地 迪夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30204837)
蔡 安邦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (90225681)
木村 久道 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00161571)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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キーワード | ナノA1相 / アモルファス相 / A1基合金 / 分散組織 / 粒成長 |
研究概要 |
本研究はナノ粒子分散型高強度アモルファス合金という題目でA1基合金について研究を行ってきた。本研究では、液体急冷法によってA1基アモルファス合金を得た後の熱処理によってナノA1粒子を析出させる方法を用い、その機械的性質、組織および結晶化過程を調べ、高強度A1粒子分散型アモルファス合金を開発するための基礎的知見を得ること目的とした。その結果、A1基アモルファスを熱処理により約15nmのA1粒子を分散させることによって引っ張り強度を大幅に向上させることに成功した。また、このようなナノA1粒子の析出をA1-Ni-Ce合金に限らず、A1-Ni-NdやA1-Ni-Yなど多くの合金群において確認した。さらに高強度を得るために、添加元素の効果について調べた結果、2〜3%のCuやAgの添加により、引張強度を1.5倍に向上させたことを発見した。強度の増大はA1に対して大きな固溶限をもつAgやCuは析出A1粒子を微細化させたことに由来すると判明した。例えば、A1粒子の粒径はA1-Ni-Ceでは10〜20nmであり、A1-Ni-Cu-CeとA1-Ni-Ag-Ceでは約4〜8nmであった。また、微細化の原因をも明らかにした。熱分析の結果から、このようなナノA1粒子分散合金が得られたアモルファス合金におけるA1粒子の析出は従来のアモルファス合金の結晶化と異なり、粒成長の過程をとり、粒成長に際してNiとCe原子がα-A1からアモルファスmatrixへ排出されるという結論を得た。A1-Ni-Ceアモルファス合金中に析出したナノfcc粒子はほぼ純A1であることと、Ce原子がアモルファス母相とfcc-A1粒子の界面に濃縮されることを明らかにした。界面におけるCeなど原子サイズの大きな原子の濃縮はfcc-A1の成長を抑制し、高強度と高延性をもたらすことは本研究で明らかになった。
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