研究概要 |
本研究ではその構造特性からユニークな物性や生理活性機能が期待できる複素多環系に着目して、これらのうち特に、含窒素および含硫黄複素多環系を中心に分子設計、合成設計をおこなって、物理性、化学的挙動、生理活性なども明らかにすることによって新規機能性ファインケミカルズ開発の基礎的研究を押し進めることを目的としている。本年度の研究実施計画にそって検討した結果を以下各項目毎に要約した。 1.活性分子種としてのアザイリド,イミノホスホランによる含窒素複素環合成法の開発と応用して、7員環1,4-ベンゾジアゼピノン誘導体の分子内aza-Witting反応による合成法を開発した。また代表者らによって開発したラクタムのキナゾリノンアネレーション-還元的環拡大反応法を活用して、Zn(II)に対するユニークなリガンドとして興味があるテトラベンゾテトラアザ-16-員環化合物類の合成法の開発に成功した。 2.1-アダマンチルジアゾ-3-オキソプロピオン酸エステルのアダマンタン含有複素環合成への応用、抗菌性分子,ジメトキシピリミジンスルホンアミドのアルカリ環変換を検討した。 3.ラジカル反応によりカルボン酸からジフルオロメチレン基含有カルボン酸およびエステルの合成法を開発しこれらの生理活性分子設計への応用をさらに検討中である。 4.ヌクレオシド合成中間体として有用性が期待できるシクロヌクレオシド,2.2'-アンヒドロ-3'-デオキシ-3'-ブロモアラビノフラノシルチミン誘導体の合成と構造証明に成功した。 5.上記により合成または合成しつつある化合物の機能、生理活性等については今後の検討を計画している。
|