研究概要 |
光学活性のendo-bicyclo[2.2.1]heptanediol(1)に光学活性で嵩高いビナフトールのクロロホスフィン誘導体2を反応させて、diphosphite(3)を調整した。この際(R)-1に対し光学活性ビナフトールの(R)体および(S)体を用いて2種のジアステレオマ-を合成した(式1)。 (R)-(S)-3:[α]D^<25>+428.7°(c1.0,CHCl_3),mp149-150℃.^<31>PNMR(109MHz,CDCl_3)δ139.5 (R)-(R)-3:[α]D^<25>-210.1°(c1.0,CHCl_3),mp136-137℃.^<31>PNMRδ145.0 この3を含む三角両錐錯体のDreidingモデルを検討したところ、C_2対称を保つ限りは、(R)-(S)-3の方が(R)-(R)-3よりペンダントによるフェンスが金属中心に近づいていてより有効な不斉配位子であると期待された。しかし、(R)-(S)-3を含むFe(CO)_3錯体モデルをCACheによってTotal steric energyの計算をすると、C_2対称を外れた配座異性体の方が30.1217kcal/molとC_2対称体の32.7618kcal/molより2.64kcal/mol安定であることを示している。実際に(R)-(S)-3を用い、Rh(I)のin situ触媒によって、CO/H_2(1/1)(40atm),60℃の反応条件で6-methoxy-2-vinylnaphthaleneのヒドロホルミル化を行ったところ、反応は容易に完結したが不斉収率は14%eeに止っている。 以上の研究と同時に、ヒドロホルミル化を有機合成へ活用する観点から、官能基配向性の反応を開発する試みを行っている。すなわち、2級アリルアルコール型の水酸基あるいは保護基の配位によって規制されるジアステレオ選択的ヒドロホルミル化を検討した。一般的にいって、対応する水素化やヒドロホウ素より、官能基配向による立体規制はCO圧下の反応条件では困難である。
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