研究概要 |
1.メタクリル酸ジフェニル-3-ピリジルメチル(1)およびメタクリル酸フェニル-ビス(2-ピリジル)メチル(2)を合成し、N,N'-ジフェニルエチレンジアミンモノリチウムアミドと(-)-スパルテイン、(+)-2,3-ジメトキシ-1,4-ビスジメチルアミノブタン、(+)-1-(2-ピロリジニルメチル)ピロリジン(PMP)との錯体を用いてトルエン中-78℃で重合させた。その結果、1および2ともPMP錯体を用いると、高いイソタクチシチー(mm>98%)と旋光性を有するポリマーが得られた。この旋光性はポリマーが一方向巻きに片寄ったらせん構造をとることによるものである。 2.メタクリル酸1-フェニルジベンゾスベリルを(+)-および(-)-メントール中でラジカル重合させると、それぞれメントールとは逆の旋光性を示すイソタクチックなポリマーが生成した。ポリマーの旋光性は一方向巻きに片寄ったらせん構造によることがCD測定より明らかになった。 3.メタ-トリルイソシアナートを(+)-1-(2-メトキシメチル)ピロリジンのリチウムアミドを用いて、トルエン中-98℃で重合させると大きな旋光性を示す光学活性ポリイソシアナートが得られた。この旋光性は、ポリマーの末端に導入された光学活性基により、ポリマーのらせん構造が一方向に片寄ったことによるものであり、芳香族ポリイソシアナートもらせん構造をとることを示唆するものである。この高分子の熱分析を行い、液晶性と安定性について検討した。 4.1の実験で得られた光学活性なポリ(メタクリル酸フェニル-ビス(2-ピリジル)メチルをシリカゲルに吸着させ、高速液体クロマトグラフィー用の充填剤を調製した。この充填剤を用いていくつかのラセミ体の光学分割を行った結果、ヘキサヘリセン、トレガー塩基、1,1-ビナフチル誘導体などが分割されることが明らかになった。
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