研究概要 |
新規の大環状ポリアミンおよびそれらの錯体を数多く合成し,以下のようなインテリジェント機能を発見,開発し,酵素反応の化学的機構解明,人工酵素の開発,新規機能性分子および新医薬品の開発に多大の成果をあげた。 (1)核酸塩基であるチミジンの選択的な認識能を持つ芳香属ペンダントを持つ新規大環状テトラアミン亜鉛錯体を合成しその錯体の構造や認識メカニズムを明らかにした。 (2)ダイマー構造を持つ一連の大環状ポリアミン誘導体とそれらの金属錯体が強い抗エイズウイルス活性と高い安全性を有することを発見した。現在,それらの構造活性相関と作用メカニズムを明らかにしつつある。 (3)新しい金メッキ剤としての可能性をもつ一連のポリアミン金錯体の合成法を開発した。無公害金メッキ法の開発への応用が期待される。 (4)電子プール機能を持つペンダントを有する一連の大環状テトラアミンニッケル錯体の合成に成功し,弱い電子供与体の存在下でもそれらが効率よく二酸化炭素の還元触媒として機能することを見い出した。 (5)新規のアルコール性水酸基を持つ大環状トリアミン亜鉛錯体を合成した。その錯体は生理条件下で容易にアルコラート錯体を形成し,強い求核剤として機能することが明かとなった。これは,世界ではじめて成功したアルカリフォスファターゼのモデルである。本研究を発展させれば低分子人工フォスファターゼの開発が可能となる。
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