研究課題/領域番号 |
04404007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石井 龍一 東京大学, 農学部, 教授 (00011958)
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研究分担者 |
佐々木 治人 東京大学, 農学部, 助手 (60225886)
山岸 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (50143409)
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キーワード | 光合成 / シンク / ソース / 炭水化物代謝 / イネ / デンプン / Q-酵素 |
研究概要 |
本年度も引き続き、イネにおける一時的シンク器官である葉鞘の生理学的シンク機能の実態解明にあたり、次のような結果を得た。 1.光、温度などの環境条件が変化した時の葉鞘のデンプン含量の変化と各種の炭水化物代謝関連酵素活性の変化との関連性を調べた。 a)光強度、温度、土壌窒素濃度の異なる環境条件下で植物体を栽培したとき、葉鞘のデンプン含量は条件に応じて変化した。各種の酵素活性を、デンプン含量の変化に対比させたところ、Q-酵素、スターチシンターゼ(STS)、ADPGPPaseの活性がデンプン含量の変化と密接に関係していたしたがって、これらの酵素が、環境条件による葉鞘の蓄積デンプンの変化に対応するキー酵素であることが示唆された。さらに、デンプン含量とともにショ糖濃度も酵素活性とよく対応しており、葉鞘に対する光合成同化物の供給量が、酵素の発現量に影響している可能性が示唆された。 b)植物体を成育させる光条件を強→弱、弱→強と変化させたところ、それに応じてQ-酵素、STSの活性が変化した。特に、Q-酵素の対応は顕著であり、このことからもQ-酵素がデンプン蓄積において重要な役割を果たしていることがうかがわれた。 2.葉身切除や穂切除により、人為的にシンク/ソース関係を変化させた時の、葉鞘におけるデンプン含量と炭水化物代謝関連酵素の活性変化との関係を調べた。 出穂期に葉身切除処理をしたところ、葉鞘デンプンは減少した。一方、穂切除処理を行ったところ葉鞘デンプンは増加した。これに対応して、特にQ-酵素、STS、ADPGPPaseの活性が変化した。またこの場合にも、ショ糖濃度が酵素活性とよく対応しており、葉鞘に対する光合成同化物の供給量が、これら酵素の発現量に影響を与える可能性が示唆された。
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