研究概要 |
(1)E系致死突然変異のモデイク解析:E^<NK>突然変異を遺伝的モザイク系統moに導入し,体の一部だけE^<NK>/E^<NK>となるようなモザイクを作成した。これらのモザイク個体の一部は孵化し,成虫はで生存した。E^<NK>/E^<NK>の細胞は腹部にあっても胸部として分化し,たとえば腹部成虫原基が成虫の過剰翅となった。E^<NK>遺伝子の発現はモザイクの境界で区別され,細胞ごとに自律的であった。(2)内分泌異常による致死突然変異NMG(光沢不眠蚕)の研究:種々に実験から,nmgホモ個体でも脳が前胸腺激ホルモン(PTTH)を合成しており,前胸線のエクジステロイド合成能がないためか,またはPTTHへの感受性がないためエクジステロイド欠損となることが解明された。(3)前胸腺刺激ホルモンと休眠ホルモン-PBAN遺伝子の連関分析:標記の二つの遺伝子は,家蚕の胚子発生や後胚子発を制御する重要な働きを担っている。既知の発育制御遺伝子とこれらホルモン遺伝子の関係を解明するために,ホルモン遺伝子の多型探索と連関分析を行った。その結果,両者には各々三つの複対立遺伝子が存在することが明らかになった。さらに,前胸腺刺激ホルモン遺伝子は第22連関群の2.7の位置に,休眠ホルモン介PBAN遺伝子はおそらく第11連関群に,それぞれ座位することが判明した。4)家蚕ゲノムの連関地図作成:致死突然変異遺伝子をクローン化するために,ゲノマッピングを試みた。蚕品種「支108号」と「大造」の交雑F1とF2を作成してゲノムDNAを調製し,RAPD(Randomly-amplified polymorphic DNA)によるゲノムDNAの多型検出と,そのマッピングをおこなった。その結果,10数本の泳動帯が再現性,明瞭性にすぐれ,遺伝的に優性であったので,各泳動帯に関してF2の100個体を調査した。大部分の泳動帯は独立に遺伝したが一部は関連していた。
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