研究概要 |
1.休眠ホルモン-PBAN遺伝子の座位 休眠ホルモン-PBAN遺伝子と既存の突然変異遺伝子の間の関係を究明する目的で,遺伝子の多型探索とマッピングをおこなった。1-1休眠ホルモン-PBAN遺伝子の多型性:休眠ホルモン遺伝子には,第4,第5イントロンの長さの多型で区別できる三つの対立遺伝子Dh^A,Dh^B,Dh^Cが存在していた。1-2遺伝子の座位決定:九州大学保存のw30系統(Dh^C)を用いた連関検索の結果,Dh遺伝子座が第11連関群のKおよびbp遺伝子と連関していた。三点実験の結果から,Dhの座位は第11連関群の-1.5と決定された。2.着色非休眠卵pnd,pnd-2遺伝子のモザイク解析 2-1pndのモザイク:遺伝的モザイク系統moを用いてpndの細胞とpnd^+の細胞が混在する個体を作出し,その休眠性を調査した結果,モザイク個体のほとんどすべてが休眠個体となることを発見した。2-2pnd-2のモザイク:moを用いてpnd-2細胞とpnd-2^+細胞が混在する個体を作出した結果,その多くは胚発生の種々の段階で致死した。組織学的観察の結果,非同調的発生は認められなかった。3.体節分化に関わる致死遺伝子,優性短節油Obsの皮膚の性状 Obsのクチクラタンパク質を分析したが,野生型との大きな差異はなかった。ObsとObs^+の細胞が混在するモザイクを作成したところ,背部正中線での不等縫合が観察され,Obs遺伝子が体節の性格に影響を与えていることが実証できた。4.致死遺伝子のポジショナルクローニングへ向けての基礎研究 致死遺伝子のクローニングのために現在考えられるのはポジショナルクローニング法である。RAPDを利用したアプローチを試みた。320種類の10merプライマーを用いて支108号と大造の間のF2雑種101個体におけるRAPDを調査した。320のうち約半数が多型的な泳動帯を生じ、約180の多型泳動帯が見いだされた。F2における分離の結果からこれらの泳動帯に対応する座位の間の連関関係を調査し,RAPDのマップを作成した。今後,従来の突然変異連関地図とRAPD連関地図を対応させる研究を開始する。
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